「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第587回
ハチャメチャな夜(その2)

いろは通りの「興華楼」から
数軒隣りの「生駒軒」に移動した。
ビールではなく、紹興酒の小瓶でもと思ったが
生憎、紹興酒はございません、とのこと。
「興華楼」もそうだったが
ディープな下町の中華屋で老酒を飲む客など
ほとんどいないのであろう。

仕方なく日本盛の燗を頼むと、
一合入りのガラス瓶がぬる燗で登場。
吟醸酒などより、一合瓶の大衆的な酒が好きだ。
櫻正宗やキンシ正宗など、正宗系が気に入っている。
突き出しの茄子の煮浸しはいただけなかった。
中華屋ながら、料理は洋食系のロースかつを注文。
お運び担当の、おそらく女将だろう、
「うちは通常、とんかつにデミグラをお掛けしますが、
 普通の卓上ソースのほうがよろしいですか?」
――これがまたエラい。
下町の心温まる接客ぶりがよい。
でも揚がったとんかつはイマイチであった。
デミグラもごくごくフツー。
とかくこの世はままならぬ。

玉の井いろは通りをあとにする。
大正通りを歩き、白鬚橋を渡り、
橋場の商店街を突き抜けて、吉野通りに出る。
ここでたまたま目の前に止まったバスに乗った。
時刻はまだ19時を回ったところだ。
こんな時間にバスに乗ることなどめったにない。
江戸通りを真っ直ぐ下って馬喰町で降り、
馬喰横山から都営地下鉄で神保町へ。

行きつけの関東風おばんざい屋「やまじょう」の
カウンターには知った顔ばかりがズラリと並んでいた。
当コラムの常連、K石クンに彼の部下のDニク、
そして女性実業家のH津女史と
見目麗しき彼女の娘さんが二人。
(注:見目麗しきの形容詞は彼女ではなく
   娘さんのほうに掛かっています)
ビールとフレッシュレモンサワーを飲みながら
主としてミメウル・シスターズと歓談。

H津ファミリーたちが退去してすぐに
やはり常連のO部さんが現れた。
TV番組制作会社の社長さんである。
どんな番組を作っているかを詳らかにしてしまうと
本人が容易に推定されてしまうので避けておく。
O部さんが開けたD・ローランの
ニュイ・サン・ジョルジュのご相伴に与った。

22時を回った頃だろうか、
O部さんの発案で新宿の文壇バーに出掛けることに。
神保町の交差点から乗ったタクシーが
止まったのは新宿5丁目。
地下にある「猫目」というバーの扉を開ける。
カウンターに陣取り、ママと正対すると、
たちまち店名の意味が理解できた。
ママの目が猫の目そのものなのである。
そしてうれしかったのは彼女がずっと
J.C.の連載や著書を読んでいてくれたこと。
ここでも赤ワインだったが、酒がグッとうまくなる。

神保町に所用を残してきており、
一足先に失礼して再びタクシーで舞い戻る。
「やまじょう」の女将のM子さんと
娘のM由子と一緒に近所のバー「Ground Line」へ。
ビールを飲んだのかカクテルだったのか
記憶が定かでなく、懇談を終えて
お開きになったのは26時でありました。


【本日の店舗紹介】
「生駒軒」
 東京都墨田区東向島5-27-4
 03-3611-0430

 
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2008年10月1日(水)

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