「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第589回
飛び切り新鮮なサカナたち(その2)

東海道本線の沼津に来ている。
市中を狩野川が流れる人口20万余の地方都市である。
狩野川の河口には沼津の魚市場があって
界隈には鮨屋や食事処が軒を連ねている。
しかしながら、いずれも商業主義丸出しの店ばかりで
夕飯どきではあったが、どうしても食指が動かず、
あきらめて立ち去るところだった。

そんなときにたまたま、市場のはずれで
「海王」なる活魚店に出会い、
一も二もなく入店したところである。
カウンターには先客が一人だけ、酎ハイを飲んでいた。

目の前のネタケースには
さまざまなサカナたちが詰め込まれていた。
見るからに新鮮なものが少なくない。
表の品書きで惹かれたのは皮はぎであった。
ケースに姿を認めることはなかったが
訊ねれば、肝もちゃんと付いているという。
さっそくお願いしたことは言うまでもない。

ところがこれが不満。
店主曰く、あまり出したくなかったとのこと。
おいおい、食べる前に言ってほしかったな。
ケースの中で目を引いたのは
イトヨリとイシモチとアマゴとシイラである。
殊にアマゴはサイズもあって、その存在感が圧巻。
そこでJ.C.、どうしてもこの勇姿を読者の方々に
ご覧いただきたく、本邦初公開のカラー写真を貼付。
これからもよい写真は掲載していきたい。
アマゴは店の常連さんが信州の川で釣ったのだそうだ。
これを刺身と塩焼きの両方でいただいて文句なし。

アマゴ photo by J.C.Okazawa

続いてイトヨリを刺身にしてもらった。
フランス料理のシェフが好んで使うサカナは
やはり鮮度が命、これまた申し分なかった。
添えられた本わさびもうれしいのだが
ぜいたくを言えば、鮫皮でおろしてほしかった。

お次はイシモチである。
これは地元で獲れる本海老との刺身盛り合わせ。
この写真もキレイに撮れたので貼付する。
韓国料理や中華のチャーハンでおなじみのイシモチを
初めて刺身で食べたが、どんなサカナでも
鮮度が高ければおいしいものだと再確認。
甘海老と車海老の中間感じの本海老もけっこうだった。

イシモチ photo by J.C.Okazawa

店主といろいろ言葉を交わすうち、
イトヨリとイシモチはカウンターの先客が今朝、
富士川沖で釣り上げたものとのこと。
そりゃうまいワケですな。
まぐろの塩辛、カサゴの塩辛、
店主のオリジナルの伊豆の踊り子などもつまんだ。
伊豆の踊り子というのは、きめじまぐろと
イカのエンペラとわさびの茎を和えたオツなもの。

満足してのお勘定。
このとき、店主は不デキだった皮はぎの代金を
受け取らない矜持を見せてくれるのだった。
あらためてこの店に遭遇した歓びを噛みしめた。

【本日の店舗紹介】
「海王」
 静岡県沼津市千本港町77-4
 055-964-1213

 
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2008年10月3日(金)

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