「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第591回
元はと言えば サカナ屋さん(その1)

もう何度も宣言しているのであえて言わないが、
J.C.のホームグラウンドは浅草である。
あっ、いけね、また言っちゃった。
まだ人生の晩年を迎えたわけでもないのに
晩年の永井荷風が毎日のように浅草に出掛けた、
その心情が実によく理解できるのである。
ただ、そぞろ歩いているだけで
身も心も弾む街は浅草をおいて
東京にはほかにないと言い切っても
何ら差し支えの生ずるものではないと信じている。

したがって晩酌をするにも浅草が一番。
リピーターではないJ.C.が
たびたび訪れる店々が浅草に集中するのも
至極当然のことなのである。
ともに浅草のランドマーク、
「神谷バー」と雷門のちょうど中間にある
アーケードがかんのん通り。
ここに気に入りの居酒屋があって
屋号を「志ぶや」という。

一夜、変わり者の友人・オーガスタと出掛けた。
この人は信州・松本の出身。
J.C.は信州・長野の生まれだから同郷のわけで
気の合う仲間という感じがしている。
そう言えば、つい数ヶ月前に初めて訪れた
深川は清澄の和食店「天竜」の店主も
信州・飯田あたりの産で
やはりすぐに打ち解けることができた。

もっともオーガスタもJ.C.も
田中真紀子さんに言わせれば、
変人の部類にカテゴライズされるだろうから
類は友を呼んだものなのかもしれない。

待ち合わせの時間より少々早めに着いたので
キリンの生中をグビッとやりながら
奴さんの到着を待つ。
その間にもつ焼きをタレで焼いてもらう。
「志ぶや」のもつ焼きは一串に
レバーもハツも砂肝も刺さっていて
一本で三度おいしい優れモノなのである。
ほどなくオーガスタが現れた。
ヤツは1杯目、こっちは2杯目の生中で乾杯。

今は昔、佐伯孝夫作詞、吉田正作曲で
三浦洸一が唄った「弁天小僧」風に
この「志ぶや」を表現すれば

♪以前を言やァ サカナ屋で
  界隈きっての鮮魚店
  包丁の冴えも だんだんに
  とうとう 割烹を開け鳥
  お験しなせェ 皆の衆
  オット俺らァ
  かんのん通り 志ぶやで〜サ ♪

と相成るのだが、そこは元サカナ屋のこと、
居並ぶ鮮魚の品揃えがまことに充実している。
いろいろ選ぶのももどかしく、刺盛りを注文した。

刺盛り photo by J.C.Okazawa

どうですこの威容ぶり。
内容は、車海老おどり・ヒモ付き青柳・とり貝・
天然真鯛・まぐろ中とろである。

          =つづく=

 
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2008年10月7日(火)

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