「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第601回
失意のどん底 ぶっかけそば

みなさんは女優の富司純子をご存知ですか?
ご存知ですよね。
J.C.はこの人の大ファンなんです。
もっともはるか昔、藤純子時代のね。

初めてTVドラマの「スチャラカ社員」を
観たときには小学生だったから
つき合い(一方的な)は相当に長い。
中田ダイマル・ラケットや藤田まことが
出演した上方コメディーは
東京五輪の前年にスタートしたものだった。

その後、大河ドラマ「源義経」の静御前役で
義経の菊之助(現・七代目菊五郎)と
競演した結果、結婚して一時芸能界を引退。
いろいろな役をこなした女優さんだが
やはりこの人の真骨頂は「緋牡丹博徒」の
お竜さんこと、矢野竜子につきる。
といっても、任侠映画なら何でもOKで
緋牡丹シリーズで主役を張るよりも
鶴田浩二や高倉健の相方に回るほうが適役だった。

この藤純子が結婚後、フジTVの「三時のあなた」に
本名の寺島純子で司会を務めていた時期があった。
このとき、ある被害者の心境を述べるくだりで
「失意のどん底」と言うべきところ、
「失意のズンドコ」とやってしまった。
ときはドリフターズの全盛時代で
「ズンドコ節」が日本国中に流れていた時代。
自然にこういうセリフが出ちゃうところが
彼女の魅力であった。

前置きがずいぶん長くなった。
なぜ、長々と藤純子の話をしたかというと、
ついこの間、足立区・綾瀬の日本そば店で
「失意のどん底」に突き落とされたからである。
城東に住むJ.C.にとっても綾瀬は近場ではない。
それでも出掛けてゆく価値のあるそば店が
「手打そば 重吉」である。

その夜も遠征していった。
到着したのは19時過ぎだったろうか。
目当てはいまだありつけていない田舎そばだった。
ところが、こんなに早い時間なのに
この日も田舎そばは売り切れだったのである。
この様子ではほとんど打っていないものと推測。
2種類しかないそばなのだから
毎日もうちょっと多めに打ってもらいたい。

仕方がないから新香をもらってビールを飲んだ。

新香盛合わせ photo by J.C.Okazawa

この新香がなかなかで、おざなりなものが一切ない。
バランスがよく、見た目にも美しい。

飲みながら、品書きを吟味して
ぶっかけそばに白羽の矢を立てた。
10分後に登場したそれも美しかった。

ぶっかけそば photo by J.C.Okazawa

おろし・白胡麻・焼き海苔・揚げ玉を従えて
温泉玉子が中央にデンと鎮座している。
頑強なコシを持つ、そばともども満足の一鉢だった。
惜しむらくはニセわさびで、これではそばが可哀想。
画竜点睛を欠いて、美女の鼻から
鼻毛がのぞいているようなものだ。


【本日の店舗紹介】
「手打そば 重吉」
 東京都足立区綾瀬1-33-16
 03-5680-9077

 
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2008年10月21日(火)

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