「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第627回
鳥挽き肉のオムレツ&メンチカツ(その2)

JR神田駅に近い多町には
多町大通りなるメインストリートがある。
この商店街の人気店は
昔ながらの情緒が漂う「サカエヤ・ミルクホール」に
近所の「勝漫」から独立した「とんかつ やまいち」。
廉価でボリューム満点だった「天婦羅いもや」は
ご主人が亡くなられて閉店してしまった。

この通りに「鳥正」なる鶏肉専門店がある。
鳥肉そのものもさることながら
この店の人気商品は店先で揚げられる
コロッケやメンチカツなどのフライもの。
鳥油を使用しているために
あっさりとしていながら、上品なコク味がある。

初めてこの店のメンチを食べたときに
中学生時代に板橋区の下頭橋のたもとにあった
鳥肉店の懐かしい味を思い出したのだった。
したがって「鳥正」の気に入りはこのメンチカツ。
自炊はあまりしない上に、
間食やおやつとも縁がないため、
ほとんど食べる機会に恵まれないのが残念だ。

ここで舞台は神田多町から、目黒の権之助坂に移る。
JR目黒駅を山手線の外側に出ると、
目の前に広く名を知られた坂が三つ現れる。
向かって一番左に位置するのが行人坂で
もっとも急勾配の坂である。
ほかの二つはともに権之助坂と呼ばれるらしい。
下っていくと、二つの坂は途中で
合流して一本になるからだと思われる。

このあたり、殊に坂の右手にはかなりの数の
ラーメン店が軒を連ねている。
城西エリアでラーメンというと、恵比寿の名が浮かぶが
どうして、どうして、目黒は恵比寿を
しのぐほどのものなのだ。

ラーメン店に挟まれるようにして
一軒のとんかつ屋があり、うなぎの寝床のような細長くて
狭い店内にもかかわらず、訪れる客があとを絶たない。
屋号を「とんかつ 大宝」という。
ロースカツやヒレカツ、特に特ロースが評判なのだが
隠れた人気メニューがメンチカツである。

J.C.は初めて暖簾をくぐるとんかつ店では
もっとも小さいサイズのロースカツを
食べることにしている。
ランチタイムなどはサービス定食と称して
一回り小ぶりのロースを提供する店が多く、
いつもはその恩恵に浴しているわけだ。

それでもこの店のメンチカツは看過できなかった。
カウンターに陣を取り、注文を通して
目の前の店主の仕事ぶりに目をこらす。
彼はまず、冷蔵庫から丸い肉団子を二つ取り出した。
次にその肉塊をペタペタとたたいて整形を始め、
小さな円盤状に形を整えると、コロモをつけて鍋に投入。
その後、5分ほどで登場したのがこれである。

鳥挽き肉のメンチカツ photo by J.C.Okazawa

サックリ揚がってしっとりジューシー。
合挽き肉ではこうはいかない、
エレガントなメンチであった。


【本日の店舗紹介】
「とんかつ 大宝」
 東京都目黒区目黒1-6-15
 03-3491-9470

 
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2008年11月26日(水)

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