第629回
赤いウインナー
昔、小林旭が唄ったTVのCMソングに
赤いトラクターというのがあった。
TVの画像では白いTシャツを着た旭に
赤いトラクターがバッチリ映えて
「赤い夕陽の渡り鳥」を彷彿とさせていた。
かれこれ30年近く前のCMだが
どういうわけかヤケに印象深い。
これはヤンマーディーゼルのCMソングで
当時の日本サッカーリーグのヤンマーには
不世出のストライカー、釜本邦茂が君臨していた。
日本サッカー界が低迷を続けていた時期だが
それでもやはり釜本の存在感は
一頭、抜きん出ていたのである。
今日の主人公は赤いトラクターでも
マイトガイ・小林旭でも
ストライカー・釜本邦茂でもなく、
往年の子どもたちの大好物・赤いウインナー。
そうです、周りを真っ赤に染められた
あのウインナーソーセージなのです。
いつの頃だったろうか、
粗挽きウインナーがヒット商品となり、
それまでスーパーの棚を埋め尽くしていた
従来のウインナーたちが不当にも駆逐され、
その姿を消していったのは?
その後、キメ細かいウインナーも残ったし、
赤ウインナーも生き残ったのだが、
赤いのはみな、魚肉の混ざったものになって
豚肉100%の「赤」は、その姿をまったく
見せなくなってしまったのである。
粗挽きは粗挽きで悪くはないけれど、
あまり日本のソーセージという感じがしない。
それがある日、懐かしの「赤」に遭遇したのである。
ところは浅草観音裏の「ニュー王将」。
カウンターに陣を取って、ビールのつまみに
ウインナー炒めをお願いすると、
目の前でフライパンをあおっていた王将ならぬ大将が
「普通のにします? それとも赤いのにします?」
と訊いてくれたのだった。
この店が魚肉入りウインナーを出すとも思えず、
即座に「赤いの」と応えていた。
豚肉に若干の鳥肉が混入してはいるものの、
じゅうぶんに満足のいくものだった。
以来、「ニュー王将」に出向くと、
必ず赤ウインナーを注文するようになる。
この店での必注種目はオムレツと刺し盛りだったが
持ち駒が三枚に増えてうれしい限りだ。
先日はたまたま、じゃが芋と赤ウインナー炒め
というのをメニューに見つけ、
豚挽きと玉ねぎのオムレツともどもいただいた。
まずは写真をとくとご覧あれ。
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じゃが芋と赤ウインナー炒め photo
by J.C.Okazawa |
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豚挽きと玉ねぎのオムレツ photo
by J.C.Okazawa |
スーパードライの生で二皿を堪能して、
芋焼酎の縁(えにし)に切り替え、
ハタと中トロ刺しの盛合わせを追加したのでした。
【本日の店舗紹介】
「ニュー王将」
東京都台東区浅草5-21-7
03-3875-1066
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