「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第632回
最後の晩酌(その1)

親しい間柄の友人たちと酒を
飲みながら談笑していて
しばしば話題になるのは最後の晩餐である。
明日、あの世へ行く前夜に
何を食べるかという、お定まりのヤツだ。

最後の晩餐についてはこのコラムや
自著のどこかに書いた覚えがあるが
つい先日、晩餐ならぬ、
最後の晩酌はどこで飲むかという話になった。

J.C.は「庶ミンシュラン」にも記した通りに
「銀座ライオン七丁目店」と決めているのだが
もうちょっとぜいたくを言わせてもらえば、
1階の大ホールの前に
5階の「音楽ビヤプラザ」に立ち寄りたい。
ここで1杯の生ビールを飲み、
ピッツアではない日本のピザでもつまみに
赤ワインを1本空けてから1階に降りて
最後の生ビールをプファーッとやりたいのだ。

11月8日、土曜日の午後のこと。
銀座一丁目のル・テアトル銀座で芝居を観た。
演目は若尾文子主演の「華々しい一族」で
相手役はますます貫禄の出てきた西郷輝彦。
わが高校の後輩・松村雄基が準主役というよりも
男優陣では最重要の役柄とあっては
出掛けぬわけには参らぬ(毎回、行ってるけど)とばかり、
仲間と一緒に追っ掛けを企てたのだった。

前回の明治座公演「大川わたり」が雄基はともかく、
芝居として不完全燃焼に終わったので
今回は大きな期待をかけると、
さすが石井ふく子プロデューサーですな、
見事な演出力で、出ている役者さんの好演を引き出し、
一同、大きく溜飲を下げたのだった。
ありがとう、石井さん。
若尾さんと西郷さんもよかったよ。
いろいろあった吉野紗香も女優を辞めなくてよかったね。

芝居のあとのお楽しみはいつものように雄基を囲んでの
飲んだり、食ったり、しゃべったり・・・。
われら野郎どもは飲んだり、食ったりで満足しているが
すでに恥も外聞も捨てて、意気盛んな女郎どもは
雄基を取り囲んでのおしゃべりが最大の楽しみだ。
それはそれでいい。

その日は総勢10名にも及んだので
J.C.は会場に「音楽ビヤプラザ」を選んだのだった。
ビール党の雄基にはもってこいの店でもあった。
芝居がハネたあと、応援団は一足先に劇場を出て
一丁目から七丁目までテクテクと歩いた。
ちょいと歩かせると、不満タラタラのオバ様方も
灯ともし頃の銀座に心がときめいたものと見え、
文句の言葉を封印して、思い身体を引きずるように
運んでいくのであった・・・。そうでもないか。

ガラスのブーツに注がれた生ビールの美味さよ!
この店自慢の音楽隊の準備も整い、
朗らかな歌声と伴奏が店内にこだまする。

音楽好きの集まるビヤプラザ photo by J.C.Okazawa

あとは雄基の到着を待つばかりと相成った。

             =つづく=

 
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2008年12月3日(水)

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