「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第633回
最後の晩酌(その2)

ル・テアトル銀座で「華々しい一族」を観劇後、
銀座七丁目の「音楽ビヤプラザライオン」で飲み始めた。
芝居で熱演した松村雄基の到着を待っている。
彼は普段から行動が素早いので、間もなく現れるはずだ。
ステージでは軽妙な司会者でありながら
歌唱力にも秀でたテノールのN谷さんが
得意のジョークを交えて観客を笑わせている。

ほどなく本日の主役の松村雄基が軽装で登場した。
一同、拍手で迎えると、その音に振り向いた
お客さんたちが、彼の存在を認識する、
あらためて乾杯。
それぞれにガラスのブーツを2杯、3杯と空けてゆく。
女性軍は白や赤のワインに移行し始めた。

当日の料理を列挙すると、
 魚介類のスモーク(いわし・さんま・ムール貝・小海老)、
 かきフライ、ソーセージ盛合わせザウアークラウト添え、
 するめいか丸焼き、生ラム肉と野菜のジンギスカン焼き、
 ずわい蟹と鮭ソーセージのピザ、マルゲリータ風ピザ

といったところである。
ほかにも2〜3品頼んだ記憶があるが
何を頼んだのか、その記憶がない。

ステージではJ.C.のリクエストした
「人知れぬ涙」をN谷さんがソロで唄い始めた。
ドニゼッティのオペラ「愛の妙薬」で
主役のネモリーノが歌い上げる名アリアは
パヴァロッティの十八番の一曲だ。

毎年、雄基は新宿のヒルトンホテルで
クリスマスのディナーショーを開いているのに
忙しいせいか、あまりこういった場所に
来る機会がないようで、真剣に舞台に見入っている。
真面目でいいヤツなのである。

舞台を見つめる雄基クン photo by J.C.Okazawa

楽団員が全員で「ハッピー・バースデイ」を唄い始めた。
どこかのテーブルに誕生日を迎えたお客さんがいたようだ。
曲が終わったと思ったら、また「ハッピー・バースデイ」。
それが終わると、また同じ曲。
そんなに誕生日の客が多いものだろうか。

すると隣りに座っていた雄基が
「ボクは昨日が誕生日だったんですよねェ」
とつぶやくではないか。
「なぜ初手からそう言わぬ。それじゃ乾杯だ」と
またまたビールのブーツを挙げる。

ここでJ.C.、接客係のマネージャーを手招きして
「この人、昨日が誕生日だったんですけど、
 何とか大目に見てもらえませんかね?」
こうお願いすると、彼が即答した。
「もちろんですよ。11月生まれでしたらみなさん、
 『ハッピー・バースデイ』ですから・・・」
「なぜ初手からそう言わぬ」
あちこちで「ハッピー・バースデイ」が唄われるわけだ。

雄基を囲み、みんなで合唱していると、
彼が立ち上がったものだから、店内は大盛り上がり。
やっぱりスターってのはエラいものだ。
ここで雄基曰く、
「ボクは昨日でしたけど、若尾さんが今日なんですよ」
「へえ〜っ、一日違いかァ。道理で舞台の濡れ場の
 呼吸が合うわけだ」
ちなみにこの日、11月8日は若尾文子のほかに
往年の二枚目、アラン・ドロンの誕生日でもあるのです。
お歳はドロンが二歳年下であります。


【本日の店舗紹介】
「音楽ビヤプラザライオン銀座店」
 東京都中央区銀座7-9-20 ライオン銀座七丁目ビル5F
 03-3573-5355

 
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2008年12月4日(木)

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