第635回
酉の市の一日(その2)
「枕橋茶や」にて一杯500円の生ビールと
一個190円の牛すじまんを楽しんだ。
この店には年内にもう一度来るような気がする。
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充実のフードメニュー photo
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今度は極上ぶたまんとシューマイでビールを飲もう。
いや、この店でランチということにして
牛すじカレーも食べてみよう。
「枕橋茶や」をあとに隅田川左岸を北上する。
ほどなく釣り堀というか、魚釣り場が見えてきた。
竿と餌を用意して30円払えば、終日楽しめるらしい。
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名人さん、いらっしゃ〜い! photo
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なぜかオジさんばかりなり photo
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見学は無料なので、道連れのS蔵さんと水辺を一周。
釣れるサカナはフナと金魚ということだが
金魚って釣りの対象になるものかしら・・・。
三囲(みめぐり)神社をすり抜け、見番通りを進む。
手造りのパンとフルーツジュースがウリの
カフェ「カド」はお休みのようだが
何ともノスタルジックな建物は健在だ。
いかにも花街のカフェという匂いがプンプンする。
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眺めているだけで癒される photo
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界隈をぐるりめぐって鳩の街に向かった。
鳩の街は戦災にあった玉の井の私娼街が
焼け残ったこの地で復活を遂げ、
大いに流行ったエリアなのだが
昭和33年に紅灯を消すことになる。
永井荷風原作の「春情鳩の街」の舞台ともなった。
これを映画化した「渡り鳥いつ帰る」は
忘れえぬ名画である。
森繁久弥と淡路恵子が改装される前の「飯田屋」で
どぜうを食べるシーンが懐かしい。
それにしてもこの映画を監督した久松静児は
ほかにも「警察日記」や
「南の島に雪が降る」などの名作を残しながら
注目度がさっぱりなのは、どうも得心がいかない。
溝口健二・小津安二郎・成田巳喜男が
あれほど評価されているのに
久松が気の毒で仕方がない。
ちなみに吉行淳之介の「原色の街」と「驟雨」も
この鳩の街を舞台にしている。
墨堤通りに出る。
ふと思って未踏の名店「志満ん草餅」の暖簾をくぐる。
間食はしない主義なのにS蔵さんに誘われて
醤油ダレの団子を一串、買い食いしてしまう。
近所の空き地というか、草むらでむさぼったのだが
誰かに見られなくてよかった。
せっかく訪れたのだからと、
よもぎ色も鮮やかな自慢の草餅を
自分自身へのみやげとした。
=つづく=
【本日の店舗紹介】
「志満ん草餅」
東京都墨田区堤通1-5-9
03-3611-6831
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