第642回
海鮮丼と煮魚定食
「丸赤」なる鮮魚店をご存知だろうか。
「湯島丸赤」と「小石川丸赤」に枝分かれしていて
前者を兄さんが、後者を弟さんが率い、
独立採算制で商売を営んでいる。
規模的にはそれほど大きくないが
都内各地の百貨店の食料品売り場に進出しており、
読者の方々も何度か目にされているものと思われる。
普通の家庭の主婦ならば、
目の飛び出るような値段の高さから、
都内随一の高級鮮魚店であることは明白だ。
今のシーズン、真鱈や平目などの切り身が
1200円から2000円以上で売られていたりする。
旬を迎えたなめた鰈は1800円だったかな。
干物類も取り扱っていて
柳かれいの一夜干しは3000円もするが、
小あじの丸干しは500円で数尾くるし、
目刺しの値段は他店とそれほど変わらない。
ある日、本郷に住む飲み友だちのH津さんが
「ねェ、『小石川丸赤』の2階に食堂ができたの知ってる?」
こう訊いてきたのは今年の春先だったろうか。
この人はほぼ毎晩、あちらこちらで
食べ歩かないと気の済まないエピキュリアンである。
「へェ、そんなこと始めたんだ」
こう応えてさっそく出掛けてみた。
初回は1260円の海鮮丼を注文。
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蝦蛄と甘海老が美味しそう photo
by J.C.Okazawa
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5分ほどで登場したどんぶりを眺めて
ほう、さすがに「丸赤」だと感心した。
内容は、平目・赤身・帆立・甘海老・白海老・
蝦蛄・たこ・たらば蟹・ばふん海胆。
海鮮ものは以上で
これに玉子焼きと漬け生姜と針海苔であった。
いずれも文句なしの高品質。
サイドに野沢菜と油揚げの味噌汁も付いた。
ただ、あまりにも量が少ない。
ダイエット中の若いお嬢さんや
古希を迎えたお年寄りならいざ知らず、
働き盛りのサラリーマンにはこれではツラい。
午後からの仕事にも影響が出そうだ。
昨日紹介した「帆掛鮨」の大盛りちらしなど、
この2倍以上あって950円ですもん。
かといって、もう一食追加するのもはばかられ、
その日はすごすごと引き揚げた。
後日。
今度は煮魚定食をトライ。
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めかじきの生姜煮定食 photo
by J.C.Okazawa
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海鮮丼とは打って変わって840円のお手頃価格だ。
ごはんはお替わりができるものの、
めかじきはやや小ぶりで
マカロニサラダとひじきはおままごとサイズ。
野沢菜と味噌汁は前回と同じだ。
しかし、よくもまァ、これだけチマチマと
盛合わせることができたものだと感心してしまう。
量より質と開き直られれば、それまでかもしれないが
酒の肴ならともかく、昼めしですからね。
次回は永谷園の大人のふりかけでも持参するか。
【本日の店舗紹介】
「小石川 丸赤」
文京区小石川4-21-1
03-3818-8288
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