第644回
夢の競演 白トリュフVS黒トリュフ(その2)
日本橋のヴェネツィア料理店、
「ダンドロ ダンドロ」で
イタリアの大地の恵みのキノコ三昧。
岩手産短角牛のカルパッチョには
ウンブリア産の黒トリュフのほかに
生ニンニクのスライスが添えられ、これが実に効果的。
カルパッチョに最適の短角牛には
うってつけの名脇役の役目をはたす。
続いてはルッコラとクレソンのサラダ。
ルッコラはセルヴァチコと呼ばれる野生種で
葉のギザギザが鋭く、香りも高い。
オマケにドレッシングにまたまた
白トリュフのオイルが使われていた。
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セルヴァチコとクレソンのサラダ
photo by J.C.Okazawa
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ルッコラやクレソンなど、シャキシャキ感旺盛で
食味も濃厚な野菜のサラダを食べてしまうと、
ロメイン(ローマ種)レタスを使用する
シーザースサラダは別格としても
通常のレタスやサニーレタス、
あるいはグリーンカールのサラダは食べていて退屈だ。
肉料理は北海道産仔羊とピエモンテ産ポルチーニの煮込み。
この料理の登場により、
赤ワインのガッティナーラが俄然、本領を発揮する。
鳩やうずらほどではないにせよ、
仔羊との相性も格別なものがあった。
普段は骨付き肉のローストやグリルを
口にすることの多い仔羊ながら
バラ肉やもも肉の煮込みも野趣に富んでけっこうだった。
J.C.のリクエストでパスタと肉料理の順番を
替えてもらったので、お次がパスタ。
当夜は手打ち自家製麺のビーゴリだった。
ソースはポルチーニとパンチェッタのトマトクリームに
白トリュフのバターで香り付けしたもの。
パンチェッタはスモークをかけないイタリアンベーコンで
卵黄と合わせるとカルボナーラ、
玉ねぎのトマトソースと合わせれば
アマトリチアーナとなる。
そして白トリュフと黒トリュフを
ふんだんに使ったリゾットで締めくくり。
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白と黒が揃い踏みのリゾット
photo by J.C.Okazawa
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黒は肉類との相性が抜群だが
白はシンプルなパスタやリゾット、
そして目玉焼きが何よりの相方である。
今年はもう一度くらい白トリュフに
おめもじがかなえばと期待するのだが
はたしてどうだろう、見果てぬ夢かもしれない。
上海蟹は我慢しても白トリュフに再会したい。
仕上げのドルチェはヴァニラのジェラートに
季節のフルッタ(単なるフルーツです)の盛合わせ。
ドルチェをあまり好まないJ.C.はパスして
替わりにグラッパを一杯。
あとはシングルのエスプレッソだ。
これでお値段は一万円ポッキリ。
六本木や西麻布のリストランテでこの内容ならば
二万円を下ることはなかろう。
種明かしをしてしまうと、この夜は
日ごろの常連客を集めたファン感謝デーなのでした。
【本日の店舗紹介】
「ダンドロ ダンドロ」
東京都中央区日本橋本町4-3-14
03-5942-4790
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