第655回
ホッピーを飲んだことがありますか?
その日もまたテクテクと歩いていた。
ランチのあとに散歩をしようと
スタートしたのが京王線の幡ヶ谷駅。
最初に向かったのは小学校に入学する前に
一時期住んでいた古い家で
5年ほど前に訪れたときには
倒壊寸前だったが、辛うじて立っていた。
場所は代々木上原の商店街である。
上原小学校のすぐそばで
住所は上原2丁目40番地あたりだ。
一すじの商店街に極端に古い家は1軒しかないから
近所にお住まいの方なら
「ああ、あの家か」と誰もがご存知だと思われる。
およそ5年ぶりで再訪してみると、
残念ながらピカピカのマンションに建て替わっていた。
訪ねたほうとしてもおそらく残っちゃいまいと、
期待もしないで出掛けたのだから仕方がない。
5年前には携帯で写真を撮ったのだが
なぜか映像を消してしまったので残存していたら
デジカメでパチリとやる腹積もりだったのだ。
少しく淋しさを引きずって散歩を続ける。
下北沢をブラブラしてレトロな「来々軒」を写真に収めた。
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一瞬にしてタイムスリップ
photo by J.C.Okazawa
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この店は以前、日刊ゲンダイの連載コラムで取り上げた。
以来、訪れていないが、店先を一目見て
ノスタルジーに心揺さぶられ、入店した思い出がある。
池ノ上から梅が丘と、あっちゃこっちゃ迷走し、
松原経由で下高井戸に到着した。
J.C.にとって下高井戸は縁薄き町である。
駅のそばの終戦直後の闇市を連想させるマーケットで
買い物をしたことがあっても
実際に店舗で飲食をした経験が皆無の町なのだ。
夕闇が迫りくる町をくまなく、と言っても、
さして広い町ではないがシラミつぶしに歩き回って
その夜の「この1軒」を捜し求めた。
実は洋風居酒屋の「おふろ」の訪問が
下高井戸まで遠征してきた目的なれど、
時間がまだ早くて、開店前だったのである。
そして発見したのが焼きとんとおでんがウリの
「なんで・や」なる大衆的な店。
レバ・カシラ・チレ(脾臓)を焼いてもらい、
ビール・燗酒・ホッピーと飲み継いだ。
普段、ホッピーはレギュラーか黒ホッピーを飲むのだが
発売55周年記念で売り出された55ホッピーをお願い。
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ラベルも粋な55ホッピー
photo by J.C.Okazawa
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ご存じない方のために説明を付け加えると、
ホッピーなる飲みものはビアテイスト清涼飲料水。
通常は甲類焼酎1に対して4〜5のホッピーを割って飲む。
1948年に東京・赤坂で生まれたものながら
ハイボールと並んで下町の大衆酒場を
代表するドリンクなのである。
本来、アイスは入れぬものなのだが
「なんで・や」ではたっぷり入れてきた。
このあたり、下高井戸に山の手の匂いを感じる。
やはりホッピーには下町がお似合いのようで・・・。
お詫びと訂正
元旦の「新年のご挨拶」でふれたガンバ大阪の
前身はヤンマーディーゼルではなく
松下電器の誤りでした。読者のO田さん始め、
いく人かの方々にご指摘をいただきました。
ここにお詫びして訂正いたします。
釜本邦茂さんが一時期、
ガンバの監督をしていたので、記憶がごっちゃに
なってしまいました。お許しください。
【本日の店舗紹介】
「なんで・や」
東京都世田谷区松原3-41-5
03-5355-3356
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