「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第656回
馬肉のタルタル美味し!

前回に引き続き、まだ下高井戸にいる。
下町に住む人間にとっては
下高井戸という町のイメージは
下北沢の弟分といった感じに近い。
下井草・下板橋・下赤塚もそうだが、
東京の下町から遠く離れた地域に
「下」を冠した地名・町名が多々見られるのが面白い。

逆に下町には「下」の付く町は少ないようだ。
ちょっと思い浮かべてみただけだが
上野の隣りの下谷くらいしか思いつかない。
これとて読み方は「しもや」ではなく「したや」だ。
町全体が下町なのだから、
あえて「下」を頂く必然性がないのだろう。
その点、世田谷区・練馬区・板橋区はみな、
広大な面積を持つ区だから
それぞれの町もそれなりの広さを有するので
同名の町を上・中・下で区分しているわけだ。

ハナシがそれたので、元に戻して下高井戸。
なかなかこれぞといった店が見つからなかったが
焼きとんの「なんで・や」は悪くなかった。
下町の大衆酒場のように心温まることはなくとも
スッと入ってサッと切り上げるのには好都合だ。
その「なんで・や」をあとにして
最初の目的地である洋風居酒屋の「おふろ」に向かう。
商店街から脇道に入ってすぐ左手の地下に店はある。

祝日の夜なのに客の入りは上々で空席が少ない。
下町の祝日の夜だと、とてもこうはいかない。
客の中に女優の室井滋さんを発見した。
これが下町の飲み屋となると、
なぎら健壱さんや吉田類さんの酔眼を見ることになる。

カウンターに席を占めて
まずは日南娘なる宮崎産の芋焼酎だ。
安直なネーミングの焼酎だが、風味はなかなかだった。
合いの手は「ふくろ」名物の馬肉のタルタル。

ガレットのような馬肉のタルタル
photo by J.C.Okazawa

同じ馬肉でも台東区・江東区あたりでは
刺身&鍋と相場が決まっているのだが
さすがに世田谷区では馬肉にもセレブ色がにじみ出る。

グラスワインはスペインのガルナッチャ。
フランスで呼ぶところのグルナッシュである。
コート・デュ・ローヌの重要なセパージュを
馬肉の残り半分とともにやると
日南娘よりも相性の良さを発揮した。

何かもう一品ほしくなり、
季節のチーズのモン・ドールをお願い。
バーテンダーに訊ねると、
熟成度が食べ頃とのことで即断したのだった。

トロリとろけたモン・ドール
photo by J.C.Okazawa

この仏産チーズは秋から冬にかけての
季節限定商品である。
個人的にはスイス産の
ヴァシュラン・モン・ドールが好みだけれど、
じゅうぶんに楽しめた。

カード占いで無聊を慰めつつ、
ワインを飲み干し、チーズを食べ終えて
お勘定と相成りました。


【本日の店舗紹介】
「おふろ」
 東京都世田谷区赤堤4-45-10
 03-5300-6007

 
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2009年1月7日(水)

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