「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第657回
梅酒のすき焼き
=男の手抜き料理シリーズ第8回=

およそ2ヶ月ぶりで
「男の手抜き料理シリーズ」いきます。
今回は日本の国民的家庭料理のすき焼き。
両親がまだ生きていた頃のわが家では
大晦日の夕食はすき焼きというのが
暗黙の了解でした。

父親が長野市での事業に失敗し、
都落ちの真逆で東京にやって来たわがファミリーは
落ち着くまでの数年のあいだ、
東京のあっちこっちをさまよった。
生活が楽ではなかったその時期に
それでも大晦日の夜だけは
家族ですき焼きを囲むことができたのは幸せだった。

昭和30年代は牛肉がまだ安かった。
小間切れに限っては豚肉とそんなに変わらなかった。
記憶が確かならば、豚小間100グラム35円の時代に
牛小間は40円ほどだったと思う。
それが日本の高度成長とともに
牛肉の値段ばかりがうなぎのぼりとなって
うなぎとあんまり変わらなくなった。
安い米国産や豪州産の輸入が解禁となり、
やっと牛肉が庶民の口に戻って来たのである。

すき焼きに梅酒と聞いて、目が点になる向きもあろう。
ところが意外とイケちゃうんですなァ。
モダンでエロチックな香りが立って
殊に若い女性にはオススメです。
ちなみに梅酒自体はワンカップでも紙パックでも
手軽なものでまったく問題はありません。
梅の粒が1個入ったヤツなんかは理想的です。
鍋の中にああいう宝物がたとえ1粒でもいると、
絶妙のアクセントになるわけです。
たまに箸で突ついて転がしたりしてネ。
それでは、アラ・キュイジーヌ!

(1)まずは食材だが、今回は鍋なので2人前。
   牛肉300グラムはフトコロ具合に見合った肉を。
   J.C.は牛小間切れか、せいぜいロースの切り落とし。
   高級肉はもったいないし、脂っこいのですぐ飽きる。
   ほかには、焼き豆腐1丁・白滝1袋・長ねぎ1本・
   にんにく5片・梅酒1合・生玉子4個。
   日本酒・砂糖・醤油・水は適宜。
   好みで、春菊・しいたけ・えのき・白菜だが
   J.C.はごちゃごちゃしたすき焼きを好まず、
   これらの材料はまず使わない。
   ただし、春菊だけはすき焼きにとても合う。
   長ねぎ以外ですき焼きになじむ唯一の野菜が春菊。
   この野菜は、ふぐちりでも、寄せ鍋でも、
   牡蠣の土手鍋でも、うどんすきでも、
   鍋物ならなんでも来いのMVPである。

(2)鍋に牛脂を溶かし、厚めスライスのにんにくを投入。
   牛肉を数切れ焼き、砂糖をまぶし醤油を垂らして
   まずは熱いうちに、すき焼き風焼肉としていただく。

(3)その鍋に梅酒・日本酒・砂糖・醤油・水を張り、
   煮立ったら牛肉を皮切りに、順次具材を投入し、
   生玉子にくぐらせてハフハフ。

これだけのことである。
だが、梅酒のおかげで適度なコクと風味と酸味が生まれ、
牛脂のシツッコさをさっぱりとさせて
箸がすすむこと請け合いなのだ。
仕上げには鍋底に煮詰まった牛肉や
白滝やにんにくをおかずにごはんでもいいし、
余った溶き玉子でとじて、他人丼にしてもイケる。
あるいは正月の名残りの餅を炒り煮にすると、
これまた、とても美味しいものである。

 
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2009年1月8日(木)

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