第660回
馬刺しと塩ちゃんこ(その1)
旧臘、尾久にある桐山部屋に出掛けた。
恒例のちゃんこ会を楽しむためだ。
元小結・黒瀬川の桐山親方は
現在土俵下で勝負審判を勤めているから
相撲ファンの方なら顔を見れば、
「ああ、この人か」と思われるはずだ。
 |
仲むつまじい桐山親方ご夫妻
photo by J.C.Okazawa
|
いまだに堂々たる恰幅を誇っている。
お隣りの若い奥さんが小さく見えること。
板橋高校の同期生で野球部のO田切クンが
親方(本名・酒井クン)の文京六中時代の同級生で
友だちの友だちは友だちということで
毎年、参上しているわけである。
まずはビールで乾杯。
 |
乾杯時の表情は人によって千差満別
photo by J.C.Okazawa
|
世の中には悲壮な顔をして乾杯する人がいるものだ。
メーカーが送ってくれるのか、谷町が差し入れるのか、
とにかく、相撲部屋というところは
ビールや酒や食いもんがバカスカ出てくる。
キリンのラガーとクラシックラガー、
アサヒのスーパードライを
ちゃんぽん(とは言わないか)にして
大瓶をトータル3本ほど飲んだだろうか。
2リットル近くも胃袋に流し込んだことになる。
どういうわけか、焼肉やジンギスカンと同じくらいに
ちゃんこ鍋もビールがガンガンいけてしまうのだ。
デカいお相撲さんがサービスしてくれるものだから
飲み食いするほうも自然に気が大きくなって
ガブガブ&パクパクに拍車がかかることとなる。
 |
ちょんまげを結ったウエイター
photo by J.C.Okazawa
|
まだみんな幕下以下だが、テキパキと動きがよい。
今年のちゃんこは板高仲間が大好きな塩ちゃんこ。
年毎に醤油味と味噌味も登場するけれど、
何てったって塩ちゃんこが抜群なのである。
あらかじめO田切クンを通して
今年は塩ちゃんこをお願いしてあるので
仲間一同、ご満悦だ。
親方の兄弟子にあたる元前頭・浅瀬川が
本郷の東大前でちゃんこ屋さんを経営しているが
ここの主力ちゃんこ鍋も塩ちゃんこだ。
両国界隈のちゃんこ屋より一枚上手につき、
ぜひ一度、足を運んでいただきたい。
ちゃんこが煮えるまで、卓上の馬刺しに舌鼓を打つ。
これがまた、熊本直送のとんでもなく美味いヤツ。
お願いすると、ドンドン出てくるから
お替わり、お替わりで、しこたま胃に収めた。
森下や日本堤の馬肉専門店の馬刺しを凌駕している。
あまりの美味さに食べるのに夢中になってしまい、
カメラに収めるのを忘れたくらいなのである。
テーブルにはほかに普通の餃子と海老餃子、
それにイカゲソの唐揚げなんぞも並んでいる。
全て力士の手作りである。
 |
白菜だけのようだが下にごっそり鳥肉が
photo by J.C.Okazawa
|
そうこうするうちに、ちゃんこが煮えてきた。
=つづく=
|