第661回
馬刺しと塩ちゃんこ(その2)
荒川区・東尾久の桐山部屋で
毎年12月恒例のちゃんこを楽しんでいる。
いまだ十両以上の、いわゆる関取のいない
桐山部屋だが有望株が一人。
幕下西3枚目の徳瀬川である。
今場所5勝2敗の成績を残せば、
来場所には初の関取誕生の可能性が芽生える。
モンゴル出身の部屋頭・徳瀬川は
今場所話題の朝青龍ほどトッポくはないが
どこか能天気なしぐさが似ていなくもなく、
なかなかのナイスガイだ。
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書割風の一コマ
photo by J.C.Okazawa
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臙脂のTシャツが徳瀬川。
ビンゴの記録係を勤めている。
彼には申し渡しをしてある。
今年中に関取に昇進した場合は
親方に頼み込んで暮れの打ち上げは
ちゃんこ鍋の代わりに
ジンギスカンにしてもらえ! と。
あらためて幕下の番付を見て驚いた。
東西60枚目まである幕下力士120人中、
モンゴル出身者が14人もいるのだ。
ほかにも珍しい顔ぶれが揃っており、
幕下9枚目の隆の山(鳴戸部屋)はチェコ出身。
幕下13枚目でグルジア出身の
臥牙丸(木瀬部屋)は四股名がユニークだ。
塩ちゃんこがいい塩梅に煮えてきたのでいただく。
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見た目もあっさり塩ちゃんこ
photo by J.C.Okazawa
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おぉ、この味、この味、三年ぶりだ。
あっさりしているのに鳥のうま味もジンワリと、
何杯でも食べられてしまう。
この頃には日本酒と焼酎と
替わりばんこに飲んだりしてホロ酔い気分。
恒例のビンゴも佳境に入り、
あちこちから「ビンゴ〜ッ!!」の
威勢のいい声が上がる。
J.C.はそこそこくじ運のいいほうで
過去にも普天王関の手形だとか
コニャックやモルトウイスキーの銘酒だとか
かなりの賞品をせしめているのだ。
ところが今回は残念賞とまではいかないが
「ビンゴ!」と叫んだのはずっとあとのほう。
景品袋に入っていたハウスの
うまかっちゃんを鍋に放り込んだら
これはやっぱり別々に食べたほうがよかった。
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うまかっちゃんをブチ込む
photo by J.C.Okazawa
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鶏ガラとトンコツが喧嘩するのではなく
インスタントラーメンとちゃんこが合わないのだった。
そして宴会の締めは桐山親方の
中学時代の恩師であるS藤先生の三々七拍子。
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元気はつらつS藤先生
photo by J.C.Okazawa
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齢83歳になられるというのにいまだに元気一杯。
よく通るお声で「フレー!フレー!桐山!」とやられる。
それもそのはず、先生のファーストネームは「精」。
どうりで精力的なはずである。
親方、今回もご馳走様でした。
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