第667回
ストリップ劇場の真向かいで(その2)
渋谷のストリップ劇場「道頓堀劇場」の真正面。
老舗ラーメン店「喜楽」の2階にいる。
昭和27年創業の伝説的な店の
名代は焦がしねぎの浮かぶ醤油ラーメンである。
ちなみに大井町の裏筋にある「一富士」と「永楽」も
同じ昭和27年の創業で
同じ焦がしねぎラーメンをウリにしている。
この偶然性はいったい何を示唆しているのだろう。
いや、いや、これは偶然の賜物ではあるまい。
隠れた秘話が潜んでいるに違いない。
どなたかご存知の方あらば、ご教授願いたい。
まずはビールと好物のピータンをお願いした。
グラスのビールを立て続けに2杯、一気飲み。
相方はちびちびとなめている。
中国人のお姉さんが運んでくれたピータンを
一目見て絶句した。
思わず口をついて出た言葉は
「嗚呼、無情! 嗚呼、化調!」であった
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化調まみれの無残なピータン
photo by J.C.Okazawa
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写真をよくご覧いただきたい。
ピータンの上に降り積もっているのは
まぎれもない化学調味料そのものである。
老舗ラーメン屋 うち入ってみれば ま白にぞ
ピータンの高嶺に 雪はふりける
皿の上はジャン・ヴァルジャンもびっくりして
銀の燭台を落っことすのでは?
と、思われるほどの「レ・ミゼラブル」状態だった。
ここでJ.C.、調味料のかかりの多いピータンは
みな、お冷やのコップの中に投入。
すべてを水に洗い流そうという企てである。
ピータンとは相性抜群の
紹興酒を注文する気にもなれず、
肉野菜炒めとワンタンを頼んでみた。
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これまた化調がいっぱい
photo by J.C.Okazawa
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食感抜群のワンタンのスープにも・・・。
photo by J.C.Okazawa
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どうしてこの店はなんでんかんでん、
化調をバカスカとぶち込むのだろう。
再び、嗚呼、無情!
ただし、救いが一つあった。
ワンタンがとても旨いのである。
締めにはくだんの焦がしねぎ醤油ラーメンを
シェアするつもりでいたが
おそらくラーメンよりもワンタンのデキのほうが
よかろうもん、という予測が立った。
どんぶりに10個ほどのワンタンは
ところどころ破れて肉餡がはみ出してしまうが
そこさえ目をつぶれば、なかなかの逸品だった。
スープもラーメンよりは薄味仕上げになっている。
いよいよ最後のラーメン(ここでは中華麺という)。
ちなみにワンタンもラーメンも御代は650円也。
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見た目は昔と変わらない
photo by J.C.Okazawa
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数年ぶりのご対面だが
肩ロースのチャーシュー、味のしみた固ゆで煮玉子、
どんぶりを覆うサッとゆでもやし、
トリオの顔ぶれも昔のままだ。
ところがやはり以前より、化調が激しく増量されている。
ここで三たび、嗚呼、無情!
国、敗れて山河あり。障子、破れてさんがあり。
トホホ・・・。
【本日の店舗紹介】
「喜楽」
渋谷区道玄坂2-17-6
03-3461-2032
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