「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第669回
大阪寿司の魅力(その1)

すし、鮨、鮓、寿司、すべてスシである。
それじゃ、どれがどうなの? 
てなことになると、この区別が少々難しい。
あえて定義づけすることもなかろうが
ある程度の分類は必要かもしれない。

すしとスシはどうでもよい。
ついでに寿司もあまり意味がない。
問題は鮨と鮓ということになる。
鮨の元祖が鮓であることに異存はない。
すしは酢の特性を活かした保存食である。

滋賀県の琵琶湖を発祥の地とする
鮒ずしが「」の代表格となろう。
ごはんを発酵させたなれずしである。
あまたある食べものの中で
ほとんど好き嫌いのないJ.C.だが
実はあまり得意としない食べものが
この鮒寿司なのである。
純和風チーズなどと言う人もいるが
J.C.の舌と鼻はその意見にくみしない。
苦手なものはそのほかに鰹の酒盗くらいかな。
まっ、どちらも食べて食べられないわけではない。

一時期は材料となるニゴロブナの
漁獲量がガクンと落ち込んだ。
環境悪化に加えて稚魚を捕食する
ブルーギルやオオクチバスが増えたためだが
滋賀県が資源回復計画を推進して
最近はずいぶんと水揚げが増加しているらしい。
それにしても日本の湖沼が
外来の魚たちだらけというのも非常に悲しい。
唱歌「ふるさと」に唄われる自然は
もう永遠に返って来ないのだろう。

さて、一方の「」の代表が江戸前鮨だ。
今からおよそ200年前の文化・文政の頃に
両国界隈で生まれた。
ごはんが発酵するのを待ってはおられんと
ごはんに酢を打って即席の酢めしとした。
そして日本のすしはこちらが主流となった。
まったくもってこの発明は
即席ラーメンの発明のはるか上をゆく。

と、講釈はこのくらいにして
本日は珍しくも鮓の流れを汲む大阪寿司のご紹介。
大阪寿司は上方寿司とも呼ばれるが
なかなか東京には定着しない。
関東の家庭で実際に鯖寿司や雀寿司を作る家は
まず皆無に近いだろう。
そこでぜひ、足をお運び願いたいのが
神田は旧連雀町の「神田志乃多寿司」。

「志乃多寿司」と言えば、
人形町・浅草・新橋と都内各地に
その名声を聞くことができる。
それぞれに長い歴史と伝統を誇る老舗だ。
志乃多とは、もともとお稲荷さんのことで
各店の主力商品はその稲荷寿司と海苔巻き。
浅草の「志乃多寿司」などは
その2品のほかに何もない。

            =つづく=

 
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2009年1月26日(月)

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