第670回
大阪寿司の魅力(その2)
都内に数ある「志乃多寿司」の中には
浅草のように稲荷と海苔巻きしかやらない店もあるが
東京メトロ淡路町駅近くの
「神田志乃多寿司」は大阪寿司の取り揃えが実に豊富だ。
店先を通ると、売り場のショーケースのすぐ向こう側で
仕事に励む職人さんの姿を拝見することができる。
江戸前の鮨店のネタケースに当たる場所が
ショーケースになっているわけで
訪れる客はつけ台に立って買い物をする感覚である。
この店の地下にイートインコーナーが
設けられたのはいつ頃からのことだろう。
イートインコーナーと呼ぶには語弊があるほどに
きちんとした食事処の態を成している。
「静智庵」という立派な名前も付けられている。
3年前に初めてカウンターに座って驚いた。
押し寿司・鯖寿司が極めて良質なのである。
以来、白山上「梅光」、西浅草「すし468」と並んで
J.C.の選んだ大阪寿司の東京御三家と相成った。
読者のW辺M子さんは異論がおありで
いただいたメールでは神楽坂「大〆」を強く推されていた。
確かにこのお店、味はすばらしいのだが
値段がべらぼうなので、外さざるを得ないのである。
さっそく、つけ台に陣取って品書きを見てみよう。
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裏には稲荷寿司と海苔巻きのメニューが
photo by J.C.Okazawa
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選んだのは結局、前回に続いて「楓」。
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いずれ劣らぬ名品揃い
photo by J.C.Okazawa
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どうしてもビールがほしくなってしまう。
好きな順番に並べてみると
小鯛・鯖・穴子・海老・鮭ということになろうか。
この店のありがたいところは
江戸前のにぎりほどではないが
押し寿司なのに寿司種にかなりの厚さがある点だ。
やたらめったらギューギューと押さないものだから
酢めしにふっくら感が残っている。
注文をつけるとすれば、
バッテラでおなじみの白板昆布を
小鯛や鮭にも乗せてくることだ。
独特の旨味を内包するこの昆布は
鯖や鯵など青背との相性を活かすべきもので
上品でデリケートな白身には不向きなのである。
同じく青背でも赤身の鮪や鰹にはまったく合わない。
青背で白っぽい身肉を持つサカナ限定といってよい。
鯖・鯵以外なら、鰯・秋刀魚・鰤・飛魚といったところか。
「楓」を食べ終え、ビールも空いた。
だけどもJ.C.の胃袋にはまだ、
若干のスペースが残っている。
そこでこれまた毎度のことながら
鯖棒寿司を2切れ追加する。
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鯖好きにはたまらない肉厚の棒寿司
photo by J.C.Okazawa
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ご覧のように鯖の厚みは酢めしと変わらない。
アッサリ派には多少のクドさが残るのだが
コッテリ派には垂涎となろう。
関東地方に上方の寿司がもっと普及するように
これからも大阪寿司を応援していきたい。
寿司は大阪、サッカーはガンバ大阪で参りましょう。
【本日の店舗紹介】
「静智庵」
東京都千代田区淡路町2-2
03-5255-2525
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