「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第675回
渋谷で映画を観たあとで(その1)

昨年の師走。
歳末ではなく上旬のことだった。
どうしても観ておきたい映画があって
苦手とする街・渋谷に赴いた。
髪の毛を切るとき以外は寄りつかないが
ときとしてこの街の映画館にしか
かからない映画があるので
来訪を余儀なくされるのである。

九段下の千代田図書館に寄り、
そこから麹町・四谷・信濃町と抜けて
神宮外苑の絵画館前に差し掛かり、
黄金色に染まるイチョウ並木に目を奪われた。

ゴールデン・プロムナード
photo by J.C.Okazawa

春の桜とはまた違った趣きに
心の扉をたたかれる。
パリのマロニエやプラタナスの枯れ葉も
胸に沁み入るものだが
東京のイチョウもどうしてどうして
捨てたものではありませんぞ。
さすがに東京都の木である。
ちなみに東京都の花はソメイヨシノ。
東京都民の鳥はユリカモメなのである。
誰が決めたか存ぜぬが
なかなかのセンスと賞賛せねばならない。

こうして宇田川町のシネマライズに到着。
公開中の映画は「バンク・ジョブ」。
実話にもとづく銀行強盗をテーマにした傑作である。
ギャング団の強奪した金品の中には
莫大な現金と貴金属のほかに
英国王室を震撼させるフィルムが紛れ込んでいた。
それは何か?
エリザベス女王の実妹・マーガレット王女の
乱交シーンだったのである(実名が出てきてビックリ)。

ストーリーもさることながら、
1971年当時のロンドンの街を眺めてみたかった。
ロンドンのレストランで働き出したのが
1973年だったから、事件に遅れること2年。
街にそれほどの変化があるわけでもなし、
はたして懐かしい街並みや風俗を満喫した次第。
映画としてのデキもすばらしく、
J.C.にとって去年のベストワンはこの映画。
機会があったら、読者の方々にもぜひ観てほしい。

映画の余韻冷めやらぬまま、この夜は
あらかじめ狙いを定めていた和食店「佐賀」に向かう。
この店は居酒屋として紹介されることが多いが
けして居酒屋のカテゴリーにくくれるものではない。
むしろ、日本料理店といったほうが当たっている。

以前、百軒店(ひゃっけんだな)にあった頃は
居酒屋の雰囲気と料理だったが今は違う。
それにしても間口の狭い雑居ビルの
エレベーターに乗り込んだときには
後悔する気持ちがないではなかった。
自分の眉間に縦皺が寄ったのが判ったほどだった。

            =つづく=

 
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2009年2月3日(火)

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