「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第689回
友里征耶と呉越同舟(その1)

グルメ評論界の憎まれっ子として
悪名高き友里征耶と
久々に同じ舟に乗ってしまった。

あらましはこうである。
雑誌「大人のウォーカー」の依頼で
銀座の中華ランチについて
二人で対談をすることになったのだ。
赤坂・銀座の優良中華ランチを
編集部がおのおの6店ずつセレクトし、
われわれが訪れてランク付けをする。

赤坂は二人の女性評論家が担当し、
友里&J.C.には銀座のお鉢が回ってきた。
二人は別個に店を訪れ、
それぞれの評価をぶつけ合うというものだ。
編集者とライターを交えた対談が
終わったときに時計は午後1時を回っていた。
せっかくだから二人で
昼めしを食おうということになったのである。

対談が行われた角川書店本社の所在地は
飯田橋に近い千代田区・富士見。
来る途中に目星をつけておいた
うなぎ「川勢」、とんかつ「とん治」は
彼のおめがねに適わず、却下されてしまった。
ミシュランの追っかけを続け、
「ガチミシュラン」を著したりしているうちに
とうとう味オンチも舌が驕ってしまい、
高級和食や高額鮨、
あるいはフレンチやイタリアンでないと
食指が動かぬようになったようだ。
うなぎ・とんかつもずいぶん贅沢だと思うが
このご時勢だというのに
庶民感覚のかけらもないヤツだよ、フン。

はい、はい、判りましたよ。
それじゃあ仕方がないと、向かった先は神楽坂。
そこそこ急な坂をえっちらおっちら上っていって
本多横丁の「ルグドゥノム・ブション・リヨネ」に
着いたときには友里の息は完全に上がっており、
薄い頭髪の間から汗がしたたり落ちていた、
というのはさすがに冗談。

この店は不忍池のほとりにあった
ホテル・ソフィテルの
メインダイニング「プロヴァンス」の
元シェフが開いたリヨン料理の店である。
ランチタイムは3コース用意されている。
うな重風に表現すれば(上)と(特)は
前菜・メインの選択肢が拡がるものの、
余計なことにデセールまで付いてしまう。
呉・越の敵同士でありながら
どちらもデセール嫌いは共通しており、
無駄な出費を避けるためにも
ここは二人とも(並)でいくことにした。

一番安い1850円ランチの内容は
グリーンサラダ&レンズ豆とベーコンのブレゼ
あいなめのポワレ or 豚バラ肉ブレゼのソテー

ここに飲みものが付く。

J.C.はあいなめ、友里は豚バラをチョイスした。
飲みものはともにグラスワインの赤。
さっそくこんがり焼けたバゲット風の
パンが登場したので
バター好きのJ.C.がバターを所望すると……。

         =つづく=

 
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2009年2月23日(月)

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