「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第692回
一風変わった鰈の刺身

平ぺったいサカナを好んで食べる。
平目と鰈がその双璧であることに間違いはない。
変わったところでは鯒(こち)なんかも好きだ。
夏場に鯒を鮨屋で見かけると無条件で頼む。
1月の初旬、池袋の西武デパートで
見つけたときには驚きで目が点になった。

J.C.がもっとも愛する白身は平目である。
刺身や昆布〆が飛び切りだが
もったいなくてなかなかできないフライが
刺身に勝るとも劣らぬ究極の美味。
洋食屋でたまにお目に掛かっても
ほとんどの場合、本平目ではない。
1000円そこそこで本物の平目のフライが
食べられる道理はないのだ。

ドーヴァー海峡から水揚げされる
舌平目も悩殺されてしまうほどの美味。
ニューヨークの高級フレンチや高級イタリアンでは
このドーヴァーソールを仕入れておくのが
一種のステータスとなっているくらいである。
あちらではグリルやムニエルにすると
骨を抜き取ってしまうが、あれはもったいない。
骨までしゃぶるのが何よりなのだ。

平目とは反対方向を向いている鰈もうまい。
星鰈は別格として、刺身なら真子鰈も平目に匹敵。
一夜干しなら柳鰈と笹鰈。
煮付けは東のなめた鰈に西の目板鰈であろう。
ついこの間、銀座の気に入りそば屋「泰明庵」で
なめた鰈の刺身を品書きの中にみとめた。
非常に珍しく、これが一人前1000円。
肝付きの皮はぎも同値とあって両方お願いした。

このそば屋では1階でそばをたぐるより
2階に上がって酒を飲むのがよい。
豊富な品揃えのつまみは味のほうも格別だ。
刺身の品揃えがそば屋のものではない。
真鯛・ほうぼう・本まぐろ・白みる・とり貝が
お客の指名を待ち受けていた。

肝を添えた皮はぎのうまさは百も承知。
問題はやや身肉の柔かい
なめた鰈のテクスチャーである。
ちょいとゆるいのではと心配したが
幸いにも杞憂に終わった。
なかなかの歯ざわりである。
小気味よいコリコリ感である。
青森産のみちのく彩霞(あやがすみ)と合わせて
十二分に堪能した。
この肴にしてこの酒ありの好相性であった。
ついつい酒盃を上げ下げするピッチが上がり、
いんげんのひたし、かきの柳川を追加すると
この2品の水準も高いものがあった。

つまみをセーブしたので
この夜はそばと天丼をいただくことにする。
ミニ天丼セットというのがあって980円。
もりorかけのそばを
冷やしたぬきにしたので50円アップ。
ミニ天丼の天種は
穴子・真鯛・きす・かき揚げなどから選べる。
ここにも珍しいほうぼうの天丼を見つけ、
迷わず注文に及んだのだった。


【本日の店舗紹介】
「泰明庵」
 東京都中央区銀座6-3-14
 03-3571-0840

 
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2009年2月26日(木)

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