「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第693回
さまよって北千住(その1)

俳人・松尾芭蕉が
「おくのほそ道」の第一歩を印した千住大橋。
古くは品川・板橋・内藤新宿と並んで
江戸四宿の一翼を担って栄えた千住宿の玄関口である。
橋から北へ向かってほどなく、
旧千住宿は今では北千住として
足立区随一の繁華街となっている。

ずいぶん昔のことになるが
千葉県・松戸市に住んでいた頃は
盟友が我孫子在住だったこともあって
待ち合わせてはよく
酒を酌み交わした思い出の街でもある。

とある月曜日の午後のこと。
飲み友だちのS山クンと連れ立って
南千住からコツ通りを一すじに大橋を渡っていった。
ちなみにこのコツ通りの名前の由来がスゴい。
近くに小塚ッ原の刑場があったために
刑死した罪人のおコツが
ザックザック出土したのだという。
本来は山谷に通ずる道すじなので
山谷通りと呼ばれたようだが
すっかり通称のほうが有名になってしまった。
商店街もコツ通り商店街の名を冠しているが
商店主のみなさんもいい度胸をしておられる。

目指すは北千住のランドマーク的存在、
都内にくまなく名を馳せる居酒屋「大はし」だ。
開店時間の16時半には若干の余裕があり、
北千住の街をさまよい歩いた。
途中、目を惹いたのは目抜き通りにあった
大橋眼科医院のロマンあふれる洋館。

意外にも1980年代の建築
photo by J.C.Okazawa

旧建物の名残りをとどめて再建されたという。

百年ほど前に建てられた
「槍かけだんご かどや」も実に印象的だった。

以前は足袋屋さんだった
photo by J.C.Okazawa

写真を撮影していたら
店番のお姉さんと目が合ってしまい、
誘われるようにみたらしと漉しあんを一本ずつ購入。
これはこれでうまかった。

16時25分に「大はし」到着。
並んでいたのは5人ほど。
みな常連さんのようであった。
ここへ来るのはずいぶん久しぶり。
建て替えられる前のことだった。

S山クンは寒い季節にビールを飲まない。
山形正宗の燗を所望している。
J.C.は何はなくともまずビール。
キリンクラシックラガーの大瓶である。
突き出しに茹でたキャベツが登場して
いささか鼻白んだことをあえて否定はしない。

店内にひときわ目立つのは
何たって蝿取りリボンの親方みたいな
ド派手な貼り紙だ(失礼!)。

小粋な川柳に相好を崩す
photo by J.C.Okazawa

さて、どちらの橋を渡ろうか。

           =つづく=

 
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2009年2月27日(金)

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