「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第695回
さまよって北千住(その3)

「大はし」で1時間ほど過ごし、お勘定。
あらかじめ狙いを定めておいた2軒目は
徒歩10分足らずの距離にある立ち飲みであった。
ところがこの店は
単なる立ち飲み居酒屋では括れそうもない。
きわめて質の高い料理を提供するという評判だ。
自らも「割烹くずし」を高らかに謳っている。
訪問は今回が初めて。
店の名を「徳多和良」という。

カウンターが3〜4人、
丸テーブル2卓にそれぞれ4〜5人ずつ、
おそらく満員でも14人ほどしか入れまい。
その程度のキャパシティしかないのだ。
18時頃に訪れると、カウンターに1人、
奥のテーブルに4人、入り口近くに2人、
計7名の客が楽しそうに飲んでいた。

接客を仕切る小母さんに
手前のテーブルの見知らぬカップルと
ジョインするように指示されて軽く会釈する。
彼らの料理が3品ほど並んでいるのを見て
こちらは1品ずつオーダーすることにした。
卓に一度に載りきらないからである。

まずは酒を注文。
薩摩の芋焼酎・黒かめのロックをお願いした。
日本酒党のS山クンは信州・佐久の本醸造酒、
本菊泉(ほんきくいずみ)の上燗である。
お値段はともに315円と格安ながら
どちらも量が少なくJ.C.は二口で飲み干した。
1杯525円でも構わないから
もうちょっと増量してほしいところだ。

料理の一品目は、しゃこのわさび漬け和え。
半分は出来合いなのでこれはそこそこ。
取り立てて讃えるほどのものではない。
背子蟹を所望するも日本料理店のように
殻を外してくれていないから
腹子とミソ以外は食べにくいことはなはだしい。
525円じゃ文句も言えないか。

背子蟹は松葉蟹のメス
photo by J.C.Okazawa

続いてはハタのかぶと蒸しである。
これがもっとも高価な800円だが
激安といってもよいだろう。

こわもてのする面構え
photo by J.C.Okazawa

広東料理の定番の清蒸を引き合いに出すまでもなく、
このサカナは蒸しものにすると本領を発揮する。
これを紅葉おろしとポン酢でいただいて花マル。
蟹もそうだがハタも立ち飲み居酒屋の
ラインナップではない。
海老芋の白煮も京都を感じさせる。
しかもこれが315円だ。
きゅうりもみとたらの芽を添えた
皮はぎのゼリー寄せもなかなかの仕事ぶり。

冷奴ではありませんぞ
photo by J.C.Okazawa

これとて525円だった。

酒はともかく、料理のCPはとてつもなく高い。
問題は接客の小母さんで、ちょいと目を離すと
まだ料理の残っている皿をサッと下げてしまう。
止める間もあらばこその早業だけは
何とかしてもらいたい。
どんどん客を回転させなきゃいけないことは
じゅうじゅう承知しているけれど、
お願いしますよ、ホントに。
減点要因を差し引いても秀逸な店ではありました。


【本日の店舗紹介】
「徳多和良」
 東京都足立区千住2-12
 03-3870-7824

 
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2009年3月3日(火)

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