「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第709回
田園調布でランチのはしご(その2)

WBC関連をはさんだので変則的に
田園調布のランチの続きとなった。
とんかつ「かつ久」でサービスかつ定食を試すつもりが
サービスかつ用の豚肉が返品されてしまったため、
ポーションの大きいロースかつ定食を食べる羽目になった。
完食してすでに満腹なのに
これからもう1軒周ろうというのだから
われながら無謀なハナシではある。

ターゲットは、江戸前だろうが上方だろうが、
とにかく扱うすしの東西を選ばぬ「醍醐」である。
すし屋だからしっかりと酢めしを食うことになる。
よっぽど断念しようかと思った。
でも、こんなに遠くに来たのだから
無理を押してもあと1軒、
つぶしておかねばと考えるのも人情だ。

右手で胃袋をさすりながら田園調布の駅前を横切り、
反対側の住宅街の入口にある「醍醐」に着いた。
つけ場の上に江戸前用の鮨種を記した木札が
ずらりと並んでいる。
白身が2点、ひかりモノも2点、貝類が3点に
まぐろは赤身・中とろ・大とろとすべて完備。
あとは、穴子・いくら・海胆の全13点。

ここへは上方鮓を食べるためにやって来た。
つけ台には着かずにテーブル席へ。
卓上のメニューを開くと、
見開きの右ページに江戸前鮨、左には関西鮓。
ヴァリエーションに富むのは断然関西のほうで
第一、すしの字が「寿司」・「鮨」・「鮓」・「すし」と
4種がすべて入り乱れているのだ。
大阪寿司・茶巾寿司・菊花鮨・昆布巻きすし・
小鯛雀鮓・小鯛丸型鮨・あゆ姿寿司・さばバッテーラ・
京風ちらし寿司・むし寿司・穴子箱すしと
百花繚乱の態を示しているのだった。

ここは王道の大阪寿司(1039円)でいく。

伊達巻きすしが他を圧倒している
photo by J.C.Okazawa

小鯛雀・三色・バッテラ・穴子・太巻き・
伊達巻きの面々がなかなかに美しい。
美しいがどうにも食指が動かない。
当たり前だよ、デッカいロースかつのあとだもの。

深呼吸をして呼吸を整え、果敢に挑んでいった。
満腹での試食に付き、
そのあたりは適切に考慮しなければならない。
雀寿司の小鯛のようにデリケートな種は
もうちょいと酢めしの量が少なくてもいい。
バッテラの鯖はパンチがあるからこれでちょうどよい。

巻きもの2種を最後に持って来たのだが、
ここでハタと箸先が止まった。
さもありなん。
もう一度、深呼吸をしてみる。
ところが今度は深呼吸のせいで気持ちが悪くなった。
なんとか太巻きをねじ伏せたものの、
最大の伊達巻きだけはいかんともしがたく、
ポケットからティッシュを取り出してひそかに包んだ。

その夜は焼き鳥屋でビールと串を5本のみ。
何だか晩めしを一食、損したみたい。
帰宅後、思い出して伊達巻きの包みを開くと、
酢めしにティッシュが貼り付いちゃって四苦八苦。
はがしながら思った。
「オレは一体、何のためにこんなことをしてるのだろう?」。


【本日の店舗紹介】
「醍醐」
 東京都大田区田園調布3-1-4
 03-3721-3490

 
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2009年3月23日(月)

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