「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第717回
串かつ&とんかつ 甲乙つけ難し

とんかつ店に赴いて一番よく注文するのは
ランチメニューのロースカツ。
とんかつ定食などと呼ばれていて
小ぶりのロースカツであることが多い。
高級店ではあまり見かけない、
いわゆるサービス定食なのだが
ボリューム的にはあれでじゅうぶんである。

ランチタイムのスペシャルメニューを
用意していない店では仕方なく、
プレミアムヴァージョンのロースカツ定食を
お願いすることになる。
値段的にも安いところで1300円ほどだろうか。
通常は1500円、いや1800円くらいはザラだ。
そうすると相当に立派なヤツが登場して
これにどんぶり飯に豚汁なんぞをやっつけようものなら
夕食の時間になったとしても
お腹がちっとも空いてくれない事態に発展するのである。

もっとも上野のとんかつ御三家あたりでは
それほどのポーションでないのに3000円近い出費となる。
ステーキに比べれば、手の届きそうな金額ではあるけれど、
同じ3000円を奮発するのなら
うなぎのほうに食指が動くというものだ。

巣鴨西口のロータリーをはさんで
駅舎と対峙しているとんかつ店が「とん平」。
近々世に出る「庶ミンシュラン2」では見事、
一つ星に昇格をはたした。
名物の串かつだけでなく、ロースかつにも
そのレベルの高さを認めたからである。

串かつ定食は1250円。

串を抜かれて縦にカットされている
photo by J.C.Okazawa

こういうスタイルで供する店はほかに知らない。
ユニークにして食べやすく、
発案した店主に拍手を送りたい。
備えのソースは中濃ほどの濃さ。
豚汁に化学調味料を感じるが、まあ許容範囲だ。

相方はロースかつ定食で、これが1400円。
もっとも途中で皿を交換し、半分ずついただいた。

ややスマートなロースかつ
photo by J.C.Okazawa

細身のロースは見ようによっては
サーモンフライに見えないこともない。

右端に付いたほどよい脂身がほんのりと甘く、
こればっかりはヒレかつでは味わえない、
ロースだけの特権なのである。
全部が全部、脂っこいと辟易としてしまうが、
1切れ、2切れだと、素敵なヴァリエーションを
生んでくれるのだ。

今週末には東京の桜も満開を迎えることになろう。
ソメイヨシノの名前の由来ともなった
染井霊園はこの「とん平」のすぐ近く。
霊園の中で宴会を開くわけにはいかないが
そぞろ歩きを楽しむだけなら
お墓に眠る先人たちも許してくれるに違いない。


【本日の店舗紹介】
「とん平」 
 東京都豊島区巣鴨2丁目1−6
 03-3910-5385

 
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2009年4月2日(木)

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