第719回
天丼を食べにブロードウェイへ行こう!(その2)
中野北口の中野ブロードウェイ2階に来ている。
天ぷらの「住友」で冷奴をつまみにビールを飲んでいる。
それにしても変わった屋号ではないか。
おそらく店主のお名前なのだろう。
飲食店の屋号で「住友」というのはほかで聞いたことがない。
「三井」ならあるかもしれないが「三菱」はないだろう。
振り返ってみると、日本の旧都市銀行の名前で
ありそうなのは「富士」くらいのものだ。
「太陽神戸」も「太陽」と「神戸」に
分離独立させると、間違いなくあるね。
「一勧」・「協和」・「北拓」はまず考えにくい。
「屋」の字をおくれば、「埼玉屋」はある。
東十条の有名な焼きとん屋がそれだ。
ほかにも和菓子やいなり寿司を商う店に
「埼玉屋」、あるいは「埼玉家」というのは
ちょくちょく見掛けもする。
まっ、そんなことを思い浮かべているうちに
はぜの天ぷらが揚がった。
カウンターに座ったので揚げ立ての熱々である。
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2尾付け380円のはぜ天
photo by J.C.Okazawa
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軽く塩を振ってパクリとやると、
ほう、いいじゃないですか。
はぜのホックリとした身質の特徴がよく表れている。
おまけに揚げ油が大衆店のわりには
ちっとも劣化してなくて、こりゃおすすめの店だ。
セミナー出席中の友人に
「いい店見つけた」とメールを打っておいて
酢の物を追加した。
品書きに280円とあるから
いいとこ若布と胡瓜のお手軽なヤツだろうと
タカをくくったのだった。
ところがである。
まずはご覧くだされ。
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たこも入って激安価格
photo by J.C.Okazawa
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なかなかに立派な小鉢が登場した。
真っ当なたこがいっぱい入っている。
佐島や明石でないことは明白ながら
今日び、モーリタニアやモロッコのたこでも
相当にいいモノが輸入されているからね。
一年前に「庶ミンシュラン」を編纂して以来、
安くて実のあるモノには
アンテナ張りまくりの食生活を続けているので
こういうのに出会うと、無性にうれしくなってしまう。
菊正の燗に切り替えた頃、
K石クンとN濱クンが雁首揃えて現れた。
テーブル席に移動して
さっそく天ぷらをいろいろと揚げてもらう。
海老よりも、めごちやいわしの
いわゆる小魚たちが、めっぽううまい。
残念だったのは穴子が宵の口に売り切れていたこと。
昼夜を問わず、客がひっきりなしに訪れるのは
普通の天丼だけでなく、
かき揚げ丼・魚の天丼・野菜の天丼が
揃いも揃って680円均一のサービス価格で
提供されているからだろう。
安くてうまけりゃ、客は黙っていても集まって来る。
【本日の店舗紹介】
「天ぷら 住友」
東京都中野区中野5-52-15 ブロードウェイ2F
03-3386-1546
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