「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第724回
不景気の波がここにも

渋谷・東急本店脇の通りを代々木八幡に向かうと、
左手に「八竹亭」なる定食屋が現れる。
グルメガイドにも紹介されていて
渋谷の中心地からはずれているのに名の通った店である。

初めて訪れたのはちょうど10年前のこと。
注文したのはチキンカツ定食(950円)だった。
そこそこのサイズのチキンカツに
トマトとレタスときゅうりのサラダ、
さつま揚げと大根の煮物、野沢菜、
豆腐と油揚げとエノキの味噌汁、ごはんの内容。

そのときのメモにはこうある。

AとBの定食(チキンカツと赤魚粕漬)からしか
選べないような雰囲気。
ほかのものを頼む客は一人としていない。
名物の鮭バター焼きやフライ物は
どちらかというと夜向きのようだ。
チキンカツは期待ほどではなかったが
サラダは気が利いている。
味噌汁の大きいのには少なからず驚いた。
野沢菜は出来合いの新香としては良心的なほうだ。
ごはんの炊き上がりが上々である。
カウンターのみの店内は照明が暗すぎ。
調理にいそしむ二人の親父さんも無愛想というか、
口数が極めて少ない。

けして評価が高いとはいえない。
10年ぶりの再訪は夜だった。
ヘアサロンの帰りに酒の飲めないY子さんと待ち合わせ。
こちらは酒、あちらは食事という腹積もりである。

当夜の注文品は以下の通り。
白菜新香・生野菜・豚肉&ピーマン炒め・
ミックスフライ(大海老・鮭2片・きす・茄子)。
加えてJ.C.はサッポロ黒ラベルの中瓶が2本。
Y子さんはごはんと味噌汁である。

ビールとほぼ同時にサーヴされた白菜漬けが花マル。

七色をタップリ振って
photo by J.C.Okazawa

ビールと白菜ってこんなに相性がいいんだ。
逆に生野菜は9割以上がレタスで退屈極まりなく、
10年前とは様変わりしていた。
豚肉&ピーマンはトロミがかったソースが多く、
味付けが濃すぎる。

和食と中華の中間的味付け
photo by J.C.Okazawa

ごはんのおかずにはよいかもしれないが、
ビールの合いの手にはしょっぱかった。
生パン粉の付きの多いフライは海老がプリプリで
鮭もきすもまずまず。

ボリューム満点ミックスフライ
photo by J.C.Okazawa

味噌汁を見て10年前の光景が鮮やかによみがえった。
デカい!
迫力に満ちあふれている。
おまけにあのときと同じようにエノキが入っている。
ごはんを一口もらってみると、
おお、これこれ。
やはり「八竹亭」のごはんは特筆である。
朝めしだったら味噌汁・白菜・白飯の3点セットで
かなりの満足度が得られるに違いない。

気になったのは親父さん一人きりの切り盛りである。
常連との会話から、以前に比べて売上げが相当落ち込み、
人を雇えなくなったと知った。
日本経済、どこまで続くぬかるみぞ!


【本日の店舗紹介】
「八竹亭」
 東京都渋谷区神山町16-3
 03-3469-1773

 
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2009年4月13日(月)

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