「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第725回
「山利喜」ただ今 改築中(その1)

江東区・森下は、門前仲町と両国のちょうど中間点。
門仲・両国と違い、これといった名所旧跡がないから
東京人はともかく、
他県の方々には馴染みの薄い町であろう。
わずかにケトバシの「みの家」、
もつ煮込みの「山利喜」が
世に知れ渡っているくらいのものだ。

開店前から行列ができるほどの人気店「山利喜」は
目下、建て替えのために休業中。
そのことは知っていた。
近所の「山利喜新館」が
営業を続けていることも承知していた。

ある日の夕刻。
庶民的な天ぷら店「満る善」で軽くつまみながら
晩酌にいそしもうと、明るいうちに歩いて行った。
フットワークが軽いせいで
予定よりずいぶん早く到着してしまい、
目当ての「満る善」の暖簾が出ていない。
開店までの15分間をどうしたものか思案していると、
150ヤードほど先に赤ちょうちんが見えたのだった。
それもなかなかカタチのよいヤツが・・・。

脳が判断を下す前に脚のほうが先に
トコトコと標的に向かって歩み始めていた。
何はともあれ、店先にたたずんで
品定めをしなければ気がおさまらない。
するとこれが仮営業中の「山利喜」だったのである。

ここでJ.C.、頭をスパッと切り替えた。
今宵は「満る善」を半ばあきらめて
初訪問となるこの店にしよう。
気に染まなかったら、早々に切り上げて
「満る善」に回れば、それで済むことじゃないか。

開店後、間もないせいか先客は一組のみ。
カウンターに通される。
ここで初めて店名が
「山利喜 もりもり店」ということが判明した。
なんでも前身はお好み焼きの「もりもり」だったらしい。
そこを居抜きで借りての仮営業なのである。
妙なのは店内に焼きとんの匂いも煙りも
まったくないことだった。

キリンラガーの大瓶とクレソンサラダを即お願い。
メニューを丹念にチェックしても
やはり焼きとんは見当たらない。
目の前のオーナーだろうか、店長だろうか、
訊ねてみると、狭い店なので厨房に焼き場を
作れないのと、よしんば焼き場を確保できても
店中煙りが充満してしまうとのことだった。

焼きとんはなくとも代わりに
改築中の本店にはなかったゆでとんがあった。

ゆでとんには柚子胡椒が添えられる
photo by J.C.Okazawa

柚子胡椒のほかに焼きとん用のタレと
自家製のピリ辛ソースが備え付けで
その3種類の中ではピリ辛がもっとも馴染んだ。

           =つづく=

 
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2009年4月14日(火)

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