「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第731回
青森産の大しじみ

好きな味噌汁の実は数々あれど、
あさりとしじみはその最右翼に位置している。
もちろん、はまぐりでもいいが
形のよいものは吸い物に仕立てたほうがよい。
20年以上も前のハナシで恐縮ながら
シンガポールに赴任していた時代は
小ぶりのはまぐりが安く手に入った。
これはよく味噌汁にしたものだ。

ニューヨー時代はマンハッタンの
3番街61丁目に住んでおり、
すぐ近所に日本食料品店の「Katagiri」があった。
初めてこの店でしじみを買ったとき、
砂抜き(実際は泥抜き)を怠って
味噌汁を作ってしまい、ヒドい目に合った。
しじみのニューヨーカーたちは
とんでもない量の泥を咬んでいたのである。

この経験を活かしてそれ以来、
あさりの砂やしじみの泥にはとても敏感になった。
あさりを選ぶときのコツは貝殻の模様を見ることが大切だ。
まだらの白い部分が白ければ白いほどよい。
そういうあさりはきれいな砂地に生息しているからである。
本来、白くあるべきところがグレー、
それもダークグレーだと、泥地に棲んでいた証しになる。

しじみとなると貝殻で見分けることは至難だ。
サイズは少々大きめのものがよい。
もともと小さい貝だから極小となると、
身肉を食べる楽しみがなくなるからだ。

2月も末のこと。
銀座の「過門香」でランチをとった帰り道。
銀座三越地下の鮮魚売り場に立ち寄ると、
銀色に輝く生にしんに目にとまった。
今年のにしんは大豊漁である。
腹に子を持っており、何とも美味そうだ。
翌日の土曜の昼はこれと決まった予定はない。
買い求めて檀流ならぬ、J流クッキングと
いくべきか、いかざるべきか、大いに悩んだ。

すると今度はにしんの隣りのしじみに目がとまる。
青森産のそれは今までに目にしたどのしじみよりも大きい。
このデカさなら同じ青森でも津軽の十三湖ではなく、
南部の小川原湖産ではなかろうか。

下手なあさりより大きいしじみ
photo by J.C.Okazawa

これではサイズが判らぬから、もう1枚。

隣りは立石「鳥房」のマッチ箱
photo by J.C.Okazawa

ご覧のように半端な大きさではない。

結局、しじみとにしんを買うことになった。
気になる値段はにしんが700円で、しじみが615円。
いったん帰宅してさっそくしじみの泥抜きにかかる。
にしんは尾と頭を落とし、
じゅうぶんに振り塩をしてラップをかけ、冷蔵庫へ。
しじみはかなりの泥を吐いて
翌昼までに3回も水を替えた。

炊き立てのごはんをよそい、
意気揚々と本日のダブル主役を味わうと、
訪れましたよ、至福のときが・・・
と思ったら、何か違うんだよなァ。
にしんもしじみも期待ほどではない。
どこかに旨味がもれちゃってる感じ。
箸を置いて、しばし首を傾げるJ.C.でした。

 
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2009年4月22日(水)

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