「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第740回
蛍いかの顔も三度まで(その3)

町屋のチンチン電車の線路沿いで飲んでいる。
「亀田」というもつ焼きの店である。
わりと新しめの店で内装も小ざっぱりしており、
近所の常連が引きも切らない。
塩味のもつ煮込みが上品な味わいだ。

冷たい黒ビールと温かい煮込みで
温度を相殺したあとは相方につきあって燗酒。
二級酒とあるだけで銘柄を聞きそびれた。
可も不可もない酒であった。

焼き物は、タン・カシラ・ナンコツ・肉団子が塩。
シロ・レバがタレである。
店構えや内装同様にもつ焼きも
ちまちまっとまとまってしまい、迫力に欠けている。
例えば大塚の「富久晴」の焼きトンは
かなりの小串なのだが、小さいなりの存在感がある。
残念ながら「亀田」のもつ焼きにはそれがない。
ただし、けっして不デキというのではなく、
それなりの美味しさを感じた。

接客のオバちゃんのおすすめに従い、
にんにく味噌(60円)をいただいて
塩焼きのもつに塗ったりもした。
何か刺身をと、ガツ刺しを注文。
刺身といっても下ゆでがほどこされ、
焼かれる前の状態のものだ。
相方ともども、これはあまり感心しなかった。

小一時間で切り上げ、お次はすぐ近所の「小林」。
こちらは古くから町屋に存在する人気店。
店内も時代を感じさせる。
こちらはもつの串焼きよりも串煮込みで
名を馳せる店である。
ここでは酎ハイと燗酒をやる。
相方はずっと梅ハイなる酒をなめていた。

名物の串煮込みは5本で4百円。
内容は、シロ・フワ・ガツ・ハチノス・テッポーだ。
これに90円の煮玉子を付ける。

しめて490円也
photo by J.C.Okazawa

1杯の梅ハイをチビチビやってた相方は
何を思ったか、つけ麺なんぞを所望した。
聞くところによれば、このつけ麺が
「小林」のもう一つの人気商品とのこと。
一口味見をすると、もつ煮込み店らしからぬ魚系の出汁。
水準は立派にクリアしていた。

このあたりで読者の方々は
サブタイトルの蛍いかが
ちっとも出てこないじゃないかとお思いのことだろう。
はい、ここで本日二回目の蛍クンの登場。

「小林」を出たわれわれは
酩酊しながらもさらにもう1軒。
3分ほど歩いてたどり着いたのが「ときわ食堂」。
都内に数ある「ときわ食堂」はほとんどが独立採算制。
J.C.の知る限りでは巣鴨のとげ抜き地蔵通りの
2軒だけが母と息子の共同経営だ。

町屋の「ときわ食堂」は完全に大衆酒場と化していた。
ここに蛍いかがいたのである。
それも生の蛍クンが・・・。


            =つづく=


【本日の店舗紹介】
「亀田」
 東京都荒川区町屋2-15-19
 03-3911-2652

「小林」
 東京都荒川区町屋2-8-6
 03-3892-5447

 
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2009年5月5日(火)

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