「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第761回
チャイナタウンで満腹の巻(その3)

編集者のM山サンと横浜中華街の「徳記」で
壁に掲げられた細かい字の品書きを見上げている。
昨日(第760回)紹介した麺飯類は一部にすぎない。

中国語の料理名を記すにあたり、
当該漢字が見つからないので
表記を断念したものがいくつかあったのだ。
バラ肉を指す月ヘンに南という字、
肉の細切りを意味する糸ヘンの右に
もう一つ糸を重ねる字、などである。

「徳記」ではどうしても名代の豚脚麺に惹かれてしまう。
しょっちゅう来れれば、ほかのものを頼むのだが
今回だって8年ぶりの訪問だからなァ。
M山さんも試してみたいということだし――。
結局、定番の豚脚麺を抑えておいてもう一品。

ここで本日のスペシャルを記すホワイトボードに
鶏翅伊府麺(1300円)を発見。
豚脚麺(1000円)より、300円も高い。
魚翅はフカヒレだが鶏翅は手羽先のこと。
手羽先が豚足より高価とはこれいかに。

店のオバさんに訊ねると、スープが全然違うという。
鶏をジックリ煮出した特製スープなのだそうだ。
これを聞いたM山嬢の目がキラリと輝いたのを
見逃すJ.C.オカザワではない。
この時点で鶏翅伊府麺の注文は決まったようなもの。

1983年秋、初めて香港で伊府麺を食べたとき、
日清のチキンラーメンみたいな食感に意表を衝かれた。
家庭で作るインスタントならいざ知らず、
わざわざ中国料理店で食べるとなると二の足を踏む。
それでもスープに敬意を表してお願いした。

待つこと10分、二つのどんぶりが同時に運ばれた。

麺と豚脚がセパレート
photo by J.C.Okazawa


おやっ!手羽はこれだけ?
photo by J.C.Okazawa

並べて見れば存在感は断然、豚脚である。
ちょっと見は豚の脳みそか心臓を
丸ごと取り出したかのごとくで、迫力満点。

箸を取ってJ.C.は豚から、M山嬢は鶏から食べ始めた。
スープはオバさんのご指摘通りにぶっちぎりで鶏翅。
しかして具の豚足は手羽先を一蹴して余りある。
肝心の麺はどちらも中太平打ちながら
歯ざわりで豚脚麺、ノビにくさで伊府麺だ。

中華街の大店(おおだな)で夜に宴会を張ると、
ハズすことが少なくないけれど、
そこは腐っても鯛、
手軽な麺飯類を昼めしどきに楽しむには
まだまだ魅力いっぱいのチャイナタウンであった。
とは言うものの、2軒のハシゴはなかなかキツく、
二人のお腹はすでにパンパン。

世界各地で数多くのチャイナタウンを訪れてきたが
やはり横浜とサンフランシスコが双璧だろう。
ともに目の前に海を抱えていることが大きい。
ハマの浜風、SFの夜霧、どちらも甲乙捨てがたし。


【本日の店舗紹介】
「徳記」
 神奈川県中区山下町166
 045-681-3936

 
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2009年6月3日(水)

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