「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第778回
これに見えるは煮込みじゃないか

6月15日(月)創刊の月刊誌「めしとも」。
初刊の売れ行きが順調と聞いて喜んでいる。
雑誌を開くと、ちょうど真ん中あたりに
「男には極めたい飯がある」と
名づけられた連載コラムがある。
ラーメン・煮込み・とんかつ・ハンバーガー・
天丼・オムライスと、B級メシがズラリ6品目。
そのうちの「煮込み担当」をおおせつかっている。

第一回ではJ.C.が社会人となって間もない頃に
たびたびお世話になり、以来通い続けている
有楽町ガード下の「八起」を紹介した。
思い起こせば1975年当時、
街には布施明の「シクラメンのかほり」や
キャンディーズの「年下の男の子」が流れていたっけ。
でも、心に深く残留しているのは
ジュリーの「時の過ぎゆくままに」と
ダウンタウン・ブギウギ・バンドの
「港のヨーコ・ヨコハマ・ヨコスカ」かしら――。

話を現代に戻そう。
「煮込み担当」となってからというもの、
大衆酒場や居酒屋に迷い込むと、
必ずといってよいほど、煮込みを注文する自分がいる。
このときに困るのは店によって
そのサイズが極端に異なることである。

今までに験したうちでは
最大が神保町さくら通りの「加賀廣」。
これは「めしとも8月号」(7月15日発売)で
あらためて紹介するつもり。
逆に最小は上野の立ち飲み屋「たきおか」。
もっともここの煮込みは150円だからさもありなん。

煮込みというと、豚もつ、
あるいは牛もつの味噌仕立てが正統派だと判断している。
使用するもつはシロ(腸)が最重要部位だ。
J.C.は牛もつよりも繊細な豚もつを好む。
そこにきざみねぎがパッと散っていればそれでよい。
ほかに入れるとするなら豆腐、
そしてこんにゃくでじゅうぶんだろう。

大根や人参まで投入してしまう
けんちん汁クズシみたいなのはあまり好まない。
それでも人生というものは男と女が綾なす錦絵、
ツレが女性の場合はこちらのタイプのほうが
断然喜ばれるのだから皮肉なものだ。

前述した「八起」の本店というか、
一号店は、かつての一大軍都・赤羽にある。
暗く狭苦しい赤羽店よりも
居心地のよい有楽町店をひいきにしているが
赤羽店の近くに街のランドマークとも呼ぶべき、
人気居酒屋「まるます家」が君臨している。

ここの煮込みがいわゆるけんちんスタイル。
下町の粋さ(煮込みに粋を求めるなってか?)は
残念ながら欠落していても
おふくろの味を偲ばせる温かい煮込みだ。
街はずれを荒川が流れているせいか
「まるます家」は、鯉・うなぎ・どぜうに加えて
なまずやすっぽんまで、実に川魚のオンパレード。
ユニークな店につき、近々紹介することにしよう。

 
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2009年6月26日(金

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