第786回
あの夏の由紀さおり
あれは大学に入った夏のこと。
確か8月の初めだった。
高校時代の級友と伊豆七島の一つ、
三宅島に遊びに出掛けた。
食料を運び込み、砂浜にテントを張って
島での自炊生活は1週間近くに及ぶ。
とある日、目覚めて一泳ぎしたあと。
みんなで食事作りに励んでいると、
ラジオから流れてきたのは往時の人気キャスター、
ロイ・ジェームスの名調子。
「さて今週の第○位は、由紀さおりの『手紙』!」
イントロのあとを彼女のツヤのある歌声が追いかける。
♪ 死んでもあなたと 暮らしていたいと
今日までつとめた この私だけど ♪
(作詞:なかにし礼 作曲:川口真)
ああ、「夜明けのスキャット」のお姉さんだな、
そう思いつつ、引き込まれて耳を澄ます。
サビの部分のメロディの美しさと歌詞の素晴らしさ、
そして巧みな歌唱力を駆使した
リフレインで終わるアウトロが聴く者の心に残す余韻。
すべてにおいて大好きな一曲となった。
この歌に、あの声に、魅了されたわけだ。
いまだに由紀さおりのナンバーでは
この「手紙」と「挽歌」がJ.C.にとっての双璧。
今現在もYou Tubeで「挽歌」を聴きながら
この原稿を書いているくらいである。
過日、茨城県・牛久を訪れる機会があった。
安田祥子・由紀さおり姉妹のコンサートに赴いたのだ。
テーマは、「〜ふるさとを遠く離れて〜」。
彼女たちの歌声を生で聴くのは初めてのことである。
対照的な二人の歌唱の特徴がくっきりと浮かび上がる
往年の名曲「誰か故郷を想わざる」が心に沁みる。
そして、もはや彼女たちの十八番(おはこ)となった
「トルコ行進曲」でステージは幕を閉じたのだった。
終演後は牛久シャトーへ直行。
「ガーデン・バーベキュー」を楽しむためである。
そこそこの美女が2人に
くたびれかかったオジさんが3人、
トータル5人で、まずは地ビールの飲みくらべ。
デパートの屋上のバーベキューでは
ロクな思いをしたことがないが
さすがは牛久シャトー、食材には合格点が与えられる。
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こちらが2〜3人前(4千円)のバーベキュー
photo by J.C.Okazawa
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あとからセットには組み込まれていないラムを追加した。
これはラム肉250グラム(1500円)よりも
漬け込みラム200グラム(1200円)のほうがオススメ。
緑深く広々とした園内でのバーベキューは快適そのもので
担当してくれた女性、O智サンの接客も好感度大。
茨城県といっても上野から牛久まで1時間足らず。
梅雨が明けたら一訪に値しよう。
ビールをがぶがぶ飲んだ挙句、
よせばいいのにデンキブランをボトルで注文してしまい、
その責任を取らされたJ.C.は早くもグロッギー気味。
こういう危険な飲み物はシャレでグラスに
2〜3杯ほどたしなむのがよろしいようで――。
【本日の店舗紹介】
「ガーデン・バーベキュー」
茨城県牛久市中央3-20-1
029-871-7021
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