「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第788回
観音裏の和食の佳店(その2)

観音裏は「花櫚」のカウンターに
地元のO会長と横並びで
薩摩宝山のオンザロックを飲んでいる。
とり貝・金目鯛・にしん・真鯛・
あおりいかの刺身に続き、
桜鱒の塩焼きを味わったところだ。

海洋の幸たちの鮮度は非の打ち所ナシ。
こういうものは、ああだこうだと
余計な手を加えないほうが美味しくいただける。
料理人の思い込みでイジリ壊してほしくないのだ。

卓上のボトルと氷塊でロックのお替わりを作る。
芋でも麦でも焼酎の水割りを好まないぶん、
ロックはマドラーで繰り返しステアするのがJ.C.流。
これは銀座の有名なバー「M」のオーナー自身による
マティーニ作りから盗んだ手法である。
くだんのオーナーバーテンダー、
何となく数えていたら、80回もステアしなさった。
驚くべし。

お次の料理は黒ガシラの煮付け。
これは黒いヤツガシラではありませんぞ、
黒頭鰈(クロガシラガレイ)のことである。
町の魚屋さんやデパ地下の鮮魚売り場でよく見かける
黒ガレイとよく似ているが、実際は異種。
ただし素人に見分けはつかないし、
売るほうも混同して売っているフシがある。

春先は黒ガレイがよく出回り、
春たけなわとなってくると黒ガシラの数が増える。
腹側のエンガワ部分が縞模様の黒ガレイに対し、
黒ガシラは斑点模様であることが多いようだ。
とにかくこの黒ガシラの煮付けが煮上がった。
立派な真子を腹に抱えた子持ちである。

子持ち黒ガシラの煮付け
photo by J.C.Okazawa

鰈や平目はJ.C.のもっとも好むサカナで
平目の場合は刺身はもとより煮ても焼いても
フライやムニエルにしても旨いものだが
鰈は少々、事情が異なる。
鰈類はその種類によって、向き不向きがあるのだ。

刺身・・・・星鰈・真子鰈
煮付け・・・目板鰈・なめた鰈・赤鰈
焼き物・・・柳むし鰈・笹鰈

といった塩梅なのである。
かつお・まぐろ・さんま・にしん・小肌・
穴子・きす・真鱈・甘鯛・まながつお、
好物のサカナは数々あれど、
やっぱり平目・鰈の類いが一番好きかな。

三杯目のロックを作る。
店主が最後に出してくれたのは
真鯛と金目鯛の皮の湯引き。
これをポン酢でいただいた。

舌をさっぱりとさせておき、
これから何をするかというと
近所のスナック「N」にハシゴするのである。
久々にO会長の十八番(おはこ)、
「上海ブルース」を聴くことになりそうだ。


【本日の店舗紹介】
「花櫚(かりん)」
 東京都台東区浅草3-31-3
 03-3875-2600

 
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2009年7月10日(金

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