第792回
仔牛VS仔羊 さて軍配は?(その2)
普通の日本人の口に入る食肉(牛・豚・鳥)のハナシの続き。
もつ焼きは豚と鳥がよいことは昨日書いた。
鳥のせせりとボンジリは厳密にいえばもつではないが
牛のハラミが食肉関係者の間では
もつの一部として扱われていることに倣った。
すき焼きを食べる場合に牛よりも鳥を好むのは
鳥のケースは正肉だけでなく、
レバーや砂肝も食べられるからだ。
牛のすき焼きはどうしても途中で飽きてしまう。
殊にヘビーな霜降りは2〜3枚いただけばじゅうぶん。
廉価な赤身のほうが本来の肉の旨みを味わえる。
しゃぶしゃぶとなると一般的には
牛しゃぶが断トツの一番人気となろう。
ここでもヘソ曲がりなJ.C.は豚肉を取りたい。
中でも滋味にあふれるTOKYO- Xが好みの銘柄だ。
肉じゃがは牛が好き。
もともと醤油と砂糖による甘辛の味付けは
すき焼きを見ても判るように牛肉向きである。
一方、目を海外に転じて
仏人の大好物のステイク・フリッツを見ると、
今度は牛肉とじゃが芋の相性のよさが裏付けられる。
肉じゃがの主役は牛肉ではなく、
じゃが芋なので、牛脂のしつっこさが緩和され、
すき焼きほどに飽きがこないところもよい。
カレーは家庭的なカレーなら豚肉だ。
理由は簡単で子どものときからこれですもの。
もっともこれが近畿以西のエリアなら牛肉となろう。
インド風やタイ風の場合はチキンカレーに限る。
と、ここまで長々と綴ってきたが
いよいよ今シリーズの本題。
仔牛VS仔羊の対決である。
かたや、日本の一般家庭では簡単に手に入らない仔牛肉。
こなた、ジンギスカンがある程度、普及しても
まだまだ日本人にはなじみの薄い仔羊肉。
戦場は根津の仏料理店「レストラン・リサキ」である。
この夜は一級畑のシャンボル・ミュジニーを1本持ち込んだ。
持込み料は2500円と、まずまず良心的な範囲内。
例のごとく最初にビールをお願いすると、
この手の店には珍しくキリンの一番搾りであった。
間をあまり置かずに運ばれたアミューズは桜鱒のマリネ。
店によっては雀の涙ほどのアミューズを
恥ずかしげもなく提供するところがあるが
そこそこのポーションがあって再び良心的。
前菜の一皿目はエスカルゴときのこのガレット仕立て。
これは個性に乏しく、ちと凡庸な印象が残る。
もう一皿の魚介類のパートフィロ巻揚げのほうが楽しめた。
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ガルニテュール(付け合せ)にも手を抜かず
photo by J.C.Okazawa
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いわゆるフランス風春巻きだが
ナイフを入れると中から出てきた魚介は
平目・帆立・小海老の3種類。
いつもは前菜から主菜に直進するところを
この日はスープもいただいた。
実はメニューに大好物のスープを発見したのである。
=つづく=
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