第799回
焼肉以外にも 旨いものだらけ(その1)
当コラムでも何回か取り上げた白山上の
焼肉の名店「Lee Cook」を再訪。
食事としての焼肉はけして嫌いではないが
匂いが衣服に付くのがいやだから
どうしても焼肉店から足が遠のいてしまう。
ところがこの店は無煙ロースターがフル回転して
煙りや匂いがちっとも気にならないのである。
したがって店内は清潔きわまりない。
焼肉にせよ、中華にせよ、飲食店はかくあるべし。
この夜終結したのは男女合わせて5人。
飲み物は生と瓶のビールにマッコリが1本なので
そんなに飲んだわけではない。
それでも会計は4万円を超えたのだから
一人アタマ8千円強となり、
相当に食い散らかしたことが明白だ。
この夜の朗報はフルーツトマト・キムチの復刻である。
しばらくの間、普通のトマトキムチになってしまい、
強くその復活が望まれていたところ、
願いがかなってついに再登場と相成った。
 |
旨み&辛み凝縮のフルトマキムチ
photo by J.C.Okazawa
|
特に春から夏にかけては最上のスターターがこれだ。
ビールの季節においては日本では冷やしトマトだが
お隣りの韓国はトマトのキムチである。
と言いたいところながら、実際はそうでもないらしい。
トマトをキムチにしちゃうのは日本人の発案のようだ。
まっ、日本人の考えそうなアイデアではある。
続いては豚足のスモーク。
通常の韓国料理店はボイルした豚足を
辛味の利いた味噌ダレで食べさせるが
「Lee Cook」はこれをスモークしてしまう。
おかげで風味は立つわ、
骨離れはよくなるわで、まさに一石二鳥。
これまた日本人らしい発想である。
 |
香ばしく色づいた豚足
photo by J.C.Okazawa
|
食べやすく、何よりも手があまり汚れないのがいい。
そひてビールとの相性もバッチリだ。
こんなふうにこの店はメインの焼肉以外にも
「食べなきゃ損」の名品が次から次と現れる。
もっとも黙っていては出てこないから
メニューにしっかりと目を通し、仲間と額を集めて協議し、
外してはならない料理を一皿残らず網羅してゆくのが得策。
ビールからマッコリに移行しながら考えた。
つい先日も鶯谷の「鶯谷園」を訪れたが
他店と「Lee Cook」との違いは一体何だろう。
無臭・無煙と清潔感にはすでに触れた。
あとはサービス係による丁寧な接客振りと
バリ島をイメージして生まれた快適な空間だ。
極め付きはデリカシーあふれる
料理の数々ということになろうか。
脂ジュージュー、煙りモウモウが
焼肉の醍醐味だと力説する向きもあろう。
でもこれからの時代は焼肉店にも
スマートさが求められてしかるべきなのだ。
=つづく= |