「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第801回
松本清張が棲んだ町(その1)

今年は永井荷風没後50年。
同時に太宰治と松本清張の生誕100年でもあって
世間の関心はどちらかというと
没後云々よりもめでたい生誕ウン周年のほうに
向かいがちなのは仕方のないこと。

個人的には荷風が好み。
太宰を嫌うわけではないが
彼の心情と心境は女性読者のほうが
理解しやすいのではと、思わぬこともない。
清張は荷風同様に好きな作家。
もっとも二人はまったく違う星の下に
生まれてはいるけれど・・・。

読了した作品の数は清張が断然トップ。
40年以上も昔の中学三年生の春。
奈良・京都へ向かう修学旅行の車内で
「点と線」をむさぼるように読み、
それ以来ハマッてしまったのだった。

あれは何年前だったろうか。
北九州市立松本清張記念館の
館長さんをしておられる藤井康栄さんが著した
「松本清張の残像」(文春文庫)を興味深く読んだのは。
今年また宝島別冊の「松本清張の世界」に触れ、
あらためて社会派推理小説の始祖を
つぶさに読み続ける毎日である。

そんなわけで今回は清張先生のホームタウン、
京王井の頭線・浜田山を訪れる。
都心から出向くには不便な土地ながら
駅のプラットフォームののんびり感、
駅周辺の町のたたずまい、どちらも好きだ。

浜田山にやって来るのはほとんどの場合、
町の中華屋さん「しむら」が目的地。
西洋料理に対してにっぽんの洋食があるが如く、
本場中国各地の料理に対しても
にっぽんの町中華がある。
「しむら」は本格的な中華料理も供するが
どちらかにカテゴライズすると
町中華の範疇に入ることになろう。
現在、東京に存在する町中華の中では
もっとも気に入りの一軒なのだ。

週末は立て込むので平日の夜に集まったのは4人で
N夫妻とスナック「N」のママのNNコンビと一緒。
ここのサッポロ黒ラベルの生は
マシーンの管理が徹底されている上に
注ぎ方も上手でとりわけ旨い。

まずは定番の前菜盛合わせ。

くらげ・ねぎチャーシュー・棒々鶏の3品
photo by J.C.Okazawa

来店するたびに必ず注文するのがこれ。
ことにくらげは肉厚で歯応えすばらしく、
他店ではなかなかお目に掛かれない代物なのである。
もちろん、ねぎチャーシューと
棒々鶏の水準もグンと高いものがある。

           =つづく=

 
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2009年7月29日(水

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