「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第803回
鮎が運んだ食べる歓び(その1)

永久に7月4日はアメリカの独立記念日。
イーストリバーに上がった花火が懐かしく思い出される。
ニューヨークに赴任した1987年。
ちょうどあの頃の日本では田村正和主演のTVドラマ、
「ニューヨーク恋物語」が放映されていて
ニューヨーク在住のわれわれは
日系ビデオショップから全巻まとめて借り、
週末にすべてを観終わる荒業を成し遂げたりしていた。

今年の7月25日は隅田川の花火大会。
長いブランクを経てこの大会が復活したのは1978年。
31年前の花火も懐かしく思い出される。
振り返れば大好きな鮨店「弁天山美家古寿司」を
初めて訪れたのもこの年。
当時の四代目親方には
江戸前鮨のABCからXYZまで手ほどきを受けた。

J.C.主宰の「下町を食べる会」の第3回が
深川は清澄の和食店「天竜」にて
4日と25日の2回に渡って開催された。
出席くださった読者のみなさん、お疲れ様でした。
天竜川の天然鮎を塩焼きと炊き込みごはんで
一人アタマ2尾を堪能した会は評判がよろしく、
主宰としてはこれ以上ない満足感にひたっている。

今回はそのときの模様をお伝えしたい。
何しろ小体な店につき、16名でいっぱい、いっぱい。
二夜ともすぐ満席となる応募のおかげ様をもって
まことに盛況でありました。

これより登場する写真は
第一夜、7月4日のものである。
カウンター・テーブル席・小上がりを埋め尽くし、
まずは声高らかにビールで乾杯。

最初の一品は前菜三点盛り。
内容は、夏野菜吹き寄せ・子うるか豆腐・
稚鮎のエスカベッシュであった。
季節をとらえた恰好のスターターといえよう。

それぞれに日本酒・芋焼酎・白ワインに移行する頃、
刺身盛合わせがあでやかに供された。

6種のサカナたちが集う刺盛り
photo by J.C.Okazawa

手前左から時計回りに
真子がれい・かつお・まぐろ中とろ・こち・
真あじ・白いかである。
いずれ劣らぬ杜若(かきつばた)も
こち・真子・あじに夏の訪れを知る。

続いては早くも本日の主役の鮎が
塩焼きで供された。

天竜川の天然鮎は良形揃い
photo by J.C.Okazawa

これを頭から尻尾までバリバリとやった。
やはり養殖モノとは違い、
身肉のファイバーがしっかりと主張している。
鮎が運んだ食べる歓びを実感する瞬間だ。

再び夏らしい一品は冷やし鉢。
かぼちゃ・里芋・茄子たちを従え、
あわびと才巻海老が美しく君臨していた。
この辺りの構成が実に心憎い。

          =つづく=

 
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2009年7月31日(金

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