「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第805回
再び出会った蛸の店

森鴎外ゆかりの地、千駄木の団子坂に
「三忠」という名の蛸料理専門店がある。
タコしゃぶ・タコめしはもとより、
動き回るところを食する踊り食い、
カルメ焼きのお化けみたいな明石焼き、
はてはタコのみ焼きなどと、
珍妙なネーミングのお好み焼きまであった。
ユニークにして味のよい店なので
一度きりの訪問でも記憶にしっかり残っている。

あれは二ヶ月ほど前のこと。
16時を回って間もない夕刻に
町屋の町をさまようJ.C.がいた。
この日は朝昼兼ねてカップ麺を食べただけ。
友人に「これ、イケるから食べてみて」と
すすめられた「太陽のトマト麺」というヤツを
気がすすまぬままに試食したのである。
結果はかんばしいものではなかった。
カップ麺にしろ、即席麺にしろ、
れっきとしたラーメン店のラーメンにしろ、
際物はあまり好きではない。
行き着くところは簡素な中華そばなのだ。

朝からそんな調子だから、
宵の口だというのに腹が減って仕方がなかった。
ところが時間が時間なので開いてる店は数えるほど。
気の早い居酒屋が暖簾を出していたらめっけモノ、
そんな心持ちで歩を進めていたのである。

荒川線の踏み切りを渡り、
尾竹橋通りを北に向かってほどなく、
見覚えのある「三忠」の前に差し掛かった。
数ヶ月前の散歩の途中、偶然に発見して
たたずまいは異なっていても
千駄木の「三忠」と何か関係があるものと
目星をつけておいたのだが、入ったことはない。
ガラス越しに店内をのぞけば
早くも赤い顔をして盛り上がっている
お父さんのグループが見えた。
もっけの幸いとガラスのドアを押す。

こちらは千駄木ほど蛸一色に染まっておらず、
うなぎを主力とする食堂兼居酒屋といった風。
ビールの大瓶と「春の貝づくし」を注文する。

青柳・とり貝・帆立・蛍いかの盛合わせ
photo by J.C.Okazawa

3種類の貝に、蛍いかまでもが参加している。
時は5月末、名残りの蛍というわけだ。
肝心の味のほうは
つやつやの写真ほどには優れたものではなかった。
可も不可もナシといったところ。

せっかくの「三忠」だから、
何かタコ物をと、タコブツをお願いした。

見るからにアフリカ産のタコ
photo by J.C.Okazawa

これも貝づくし同様、パッとしない。
大瓶のおかげでお腹はだいぶふくれてきた。
焼き物がほしくなり、選んだのはうなぎの肝焼き。
何となれば、壁の張り紙に
「当店は国産うなぎを使用しております」とあったから。
でも、肝は疑問だなァ。
これが本当に国産かしら・・・。
3品頼んだつまみの中でもっとも外したのが、
この肝焼きだったのである。


【本日の店舗紹介】
「三忠」
 東京都荒川区町屋1-5-3
 03-3895-1615

 
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2009年8月4日(火

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