「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第808回
♪ 素敵なあなた ♪ を聴いたあと(その2)

銀座4丁目の十字屋ホールで
マイ・ファイヴァリット・ソング、
「素敵なあなた」を聴いて、ご機嫌な一夜。
仲間4人がコリドー街のはずれの
「ANTWERP SIX」で
ベルギービールのグラスを掲げたところである。

手っ取り早いつまみとして
まずはポムフリット(フライドポテト)を頼む。
それとベルギー人の大好物、ムール貝だ。
当地でポピュラーな食べ方は
白ワイン蒸しのマリニエールだが
この店のムール貝メニューは多種多彩。
目移りがして仕方がない。
結局、選んだのはサフラン風味である。
貝の身を食べたあとのスープがまた楽しみで
サフランの香りは大好きなのだ。
ベルギー料理ながら仕上がりは
南仏のブイヤベースに似たものになりそうだ。

常人はここで白ワインを合わせるのだろうが
われら仲間は概して赤ワイン好き。
北イタリアはピエモンテ産の
バタシオーロ・バルベーラ・ダスティ‘06年を注文。
バローロやバルバレスコほどの深みはなくとも
バルベーラ種は好みのセパージュである。
ちなみに値付けは4500円とお手頃だ。

ポムフリットのあとは熊本産馬肉のカルパッチョ。
これにはガーリックトーストとともに
アルジェリア風パプリカのマリネが添えられた。
マグレブ(北アフリカ)諸国の代表的料理、
クスクスには香辛料のハリッサが欠かせないが
この料理は別段、辛いわけでもなく、
クミンが利いているでもなく、
どこがアルジェリア風なのか、皆目判らなかった。

メインディッシュでもないのに
主役級のムール貝が登場した。

小粒ながら身はムッチリと
photo by J.C.Okazawa

サフランの香りとムール貝の滋味が
シンクロナイズして鼻腔に抜けてゆく。
大箱のビヤホールの料理には
さほどの期待を寄せなかったので
これはうれしい誤算となった。

生ハムをあしらったニョッキのソテーだけは
スイトンの鉄板焼きみたいで感心しなかったが
総じて料理の水準は高い。
仔牛バラ肉と夏野菜の煮込みプロヴァンス風は
身肉が赤みを帯びる前の、真っ当な仔牛であった。

柔らかさの中にも弾力のある仔牛バラ肉
photo by J.C.Okazawa

この料理も期待を大きく上回った。

ここで先ほどのムールの出汁がたっぷりと出たスープ。
率直に言って、このスープが当夜のMVPかもしれない。

締めくくりは雛鶏のエピスロースト。
エピスはフランス語でスパイスのこと。
「モロッコの香りラスエルハヌートをまぶした」と
説明書きが付いていた。
聞きなれないカタカナはフランス産のミックススパイス。
ネットショップで検索してみたら140グラムで1418円。
かなりお高い、高級スパイスだったのである。


【本日の紹介店舗】
「ANTWERP SIX(アントワープ・スィス)」
 東京都中央区銀座8-2-1
 03-5568-0091

 
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2009年8月7日(金)

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