「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第812回
東大前のそば屋で晩酌

本郷の東大正門から歩いて2分ほどの場所に
本郷館なる3階建ての木造建築物がある。
明治38年に建てられた下宿屋だが
震災からも戦災からも奇跡的に焼け残った。
初めてその姿を目の当たりにしたときは
「よくもまぁ、無事で」と、感慨もひとしお。
鴎外・漱石・芥川、文豪たちは
揃ってこの建物を目にしているはずだ。

食べ歩き仲間の友人が
その本郷館の雄姿を一度でいいから
拝みたいというので、とある日に案内した。
その途中、見慣れぬそば屋を発見したのである。

と、ここまで書いたところで
TV画面では石川遼がウイニングパットを決めた。
遼クン自身も勝利後のインタヴューで語っていたが
惜敗したブレンダン・ジョーンズの態度が立派。
彼みたいにジェントルなナイスガイはそういない。
英国人と米国人のいいところだけを取ったような
豪州人に敬意を込めて拍手を送りたい。
そういえば、今夜の藍ちゃんも楽しみだ。
戦いの舞台となるのは映画「Shall we ダンス?」で
有名になったイングランドのブラックプールである。

閑話休題。
本郷のそば屋のことだった。
その名を「あさひや」という。
屋号は都内各地で目にするほどにありふれたものだが
店先のボードに興味を持ったのである。
千円札1枚の、そばいちセットというのがあり、
酒と肴ともりそばがセットになっていた。

後日、「あさひや」のことを思い出し、訪ねて行った。
もちろんそばいちセットを試すためである。

卓上のお品書き
photo by J.C.Okazawa

酒はビール、肴は鶏肉のぬきをチョイスする。
何だかずいぶん得した気分だ。

ビールには突き出しまで付いてきた。

突き出しは蕨(わらび)主体の山菜
photo by J.C.Okazawa

瓶詰めか何かの出来合いなのは仕方がない。

鶏肉のぬきはいわゆる親子丼のごはん抜き。

色合いも味付けも薄めの鶏肉のぬき
photo by J.C.Okazawa

なかなか気の利いたつまみであった。

しばらく間を置いてから可も不可もないもりそばが登場。

薬味はさらしねぎと粉わさび
photo by J.C.Okazawa

そばつゆは肴とは打って変わって、かなりのしょっぱさ。
しかもそば猪口になみなみと注がれ、そば湯のときには
ビールグラスのお世話にならなきゃどうにもならない。

大きい満足感を得られはしないが、割安感は大いにある。
まだお天道様が傾く前とあって店内はガラガラ。
若い女性客が一人いるだけで東大関係者の姿は見えない。
東大はわりと学食が充実しているから
学生たちはそちらでじゅうぶんだろう。
「あさひや」はむしろ大学の先生たちに
使い勝手のよさそうなそば屋であった。


【本日の店舗紹介】
「あさひや」
 東京都文京区本郷6-17-6
 03-3811-693

 
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2009年8月13日(木)

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