「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第814回
大衆酒場 かくあるべし(その1)

隅田川の東側、江東区に
「山城屋酒場」なる名店が2軒ある。
本店・支店というくくりではないが
都営新宿線・住吉駅に近い店舗が本家で
どの駅から歩いてもやたらに遠い、
南砂にあるのが分家だ。

この一年というもの、
大衆酒場や居酒屋に足繁く通っている。
思い起こせば、J.C.の飲み食べ歩きは
大衆酒場が原点と言えなくもない。
小学生の頃から父親に連れられて
あちこちの酒場に出入りしていたからだ。
もちろん酒は飲まずに
煮込みや焼きとんで飯を食たべたのである。
まっ、たまにはオヤジにつきあって
ビールの1〜2杯はいただきましたがね。

いろいろ訪れた店の中でも
浅草の「染太郎」のそばにあった、
今はなき「菊水」は忘れがたき一軒だ。
そんな経緯からいくつになっても
大衆酒場に入店すると
古巣に舞い戻ったような心の安らぎを覚える。

ということで、以前から気になっていながら
未踏だった「山城屋酒場」に出掛けて行った。
暖簾をくぐったのは住吉の本家のほうである。
この日はなぜかビールでなく酎ハイを注文。
おそらくそんな気分であったのだろう。
「酎ハイの素(もと)」と炭酸が別々に来た。
一緒に突き出しも運ばれる。

3点セットでご到着
photo by J.C.Okazawa

こぶ&ちくわぶのおでん種はいかにも下町風。
何とも言えない風情を醸して
この店がよい店であることがこれだけで判る。
ハナマサあたりで買って来た出来合いの
ポテサラなんぞを突き出されると
小鉢を引っくり返したくなるものなァ・・・。

当夜はあとにもう1軒控えているので
つまみは一品だけと決めてある。
知る人ぞ知る名物のトンカラだ。
鳥の唐揚げならぬ、豚の唐揚げがトンカラ。
生レモンサワーに切り替えながら、その名物をお願いした。

さつま揚げじゃないよ、トンカラだよ
photo by J.C.Okazawa

なかなかの揚げ上がりで
どこでも食べられるトリカラより断然よい。
とんかつも好きなほうだが酒の肴にはちと重い。
その点、パン粉ナシの唐揚げは実に軽やか。
飯のおかずにはとんかつでも、酒の友にはトンカラだ。
よその店で見掛けないのが不思議なくらい。

支払いは締めて1130円也。
以前は情緒たっぷりの年季を誇ったこの店も
建て替えられてグッとモダンになった。
そこへいくと南砂の分家は
築百年を超えてなお健在。
これは近いうちに訪れねばなるまい。
         
           =つづく=


【本日の店舗紹介】
「山城屋酒場 住吉店」
 東京都江東区住吉2-7-14
 03-3631-1216

 
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2009年8月17日(月)

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