「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第820回
家で広げた弁当二つ

早いハナシが今日も昨日の続篇のようなもの。
軽喫茶店「富士屋」の中華そばとヤキソバのおかげで
初めてやって来た群馬県・富岡の町が好きになった。
もちろん、旧富岡製糸場も訪れてよかった場所である。

告白すると、もう一つ素敵な出会いがあった。
満足しながら「富士屋」を出たあとで
ふと立ち寄った小粋な酒亭の若女将に一目惚れ。
年がいもなく、恋におちてしまったのであ・・・。
てな、旅情あふれる艶話では
残念ながら、なかった。

昼めし処を物色しているときに見つけた
和風しゅうまいの「信州屋」で
しゅうまい弁当を一つ、買い求めたのである。
これが思いも掛けぬ僥倖となった。
「信州屋旅館」が食事に出していたしゅうまいが
人気となって市販も始めたという名品は
口当たりと舌ざわりのなめらかさから
絹しゅうまいを名乗っている。

それにしてもこの旅館、
上州にありながら屋号が「信州屋」。
創業者が信州人だと容易に想像できるが
上州人はよほどヨソ者に寛容なのだろう。
幕府直轄の天領だった上州には
昔からそんな気風が流れていたに相違ない。

白状すると、この日は途中立ち寄った
横川のサービスエリアですでに
「おぎのや」の峠の釜めしを買い込んでいた。
玉石混交の駅弁の中でもこの釜めしは
もっとも好きなものの一つ。
久しぶりに目にして買わずにはいられなかったのだ。

帰宅してシャワーを浴びたら、もう夕めしどき。
冷蔵庫から冷えたビールを取り出し、
食卓に並んだ二つの弁当の紐を解く。

シンプルな掛け紙にセンスが光る
photo by J.C.Okazawa


煮物・新香・カリカリ梅の副菜も充実
photo by J.C.Okazawa

豚肉・玉ねぎ・根生姜を使ったしゅうまいは
肉々しさを抑えたマイルドタイプ。
これが好みにピタリとはまった。

一方の峠の釜めしはお馴染みの味。

あんず・うず玉・栗の三兄弟が魅力的
photo by J.C.Okazawa


容器も中身もグッドなお新香
photo by J.C.Okazawa


具にもつかない駄作が
大手を振って跋扈(ばっこ)する駅弁界にありながら
「おぎのや」の名作は変わらぬ光彩を放ち続けている。
軽井沢まで行く列車がなくなってしまい、
売れ行きを心配したが、それもまったくの杞憂だった。
サービスエリアで飛ぶように売れている。
道にも駅があったんだね。

さて、食べ終わっていつも悩むのは
益子焼の立派なお釜の行く末。
捨てるに忍びないし、さりとて使いみちも思いつかない。
ここまで書いてきて、パッとひらめいた。
そうだ、愛猫の水飲み場にしてみよう。
さっそく実行すると、ヤッコさん、
今のところジッと見つめてはいるのだが
察するに手を、いや、舌を出しそうもない。
おいおい、早いとこ、飲めよ! こっちは忙しいんだぜ。


【本日の店舗紹介】その1
「信州屋」
 群馬県富岡市富岡51
 0274-63-2000

【本日の店舗紹介】その2
「おぎのや 横川サービスエリア店」
 群馬県安中市松井田町横川字井戸入917
 上信越自動車道上り線
 027-395-3535

 
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2009年8月25日(火)

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