第821回
千住に来ると ついついハシゴ
1970年代後半。
盛んに浅草の街で遊び始めた頃は
千葉県・松戸市に棲んでいた。
当時のGFも同じ路線の我孫子市在住だったので
都心のデート帰りにときたま北千住で途中下車。
したがって居酒屋の多いこの町には土地カンがある。
そのせいかここにやって来ると
ついつい2軒、3軒と飲み歩いてしまう。
その日もそうであった。
駅そばの「永見」に入店したのは午後4時。
相方のM助クンは、当日非番の料理人。
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「永見」にいることを実感させるポスター
photo by J.C.Okazawa
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サッポロ赤星ラガーのグラスを合わせながら
名物の千寿揚げと鳥ナンコツつくね焼き、
それに牛ハラミ焼きの3品をお願いする。
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自家製さつま揚げの千寿揚げ
photo by J.C.Okazawa
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千寿揚げにはレギュラーとニンニク入りがあり、
この日はニンニク入りを所望した。
ほかの店も回りたいので長居はしない。
ビールをグイッと飲み干してのお勘定。
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男客ばかりの店内
photo by J.C.Okazawa
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2軒目は5分ほど歩き、割烹くずしの「徳多和良」。
ここでは信州・佐久の本菊泉(ほんきくいずみ)の燗だ。
つまみは、かさご刺し・焼き〆さば・鱧照り焼き。
ポン酢でいただく、かさごはよかった。
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上品な白身のかさご刺身
photo by J.C.Okazawa
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ご覧の通り、量はけして多くはなくとも
たったの315円というから驚きである。
割烹くずしどころか、価格くずしと言ってよい。
ところが、血合いの多い焼き〆さばがイマイチ。
そして作り置きを温めて出すだけの
鱧照り焼きにいたってはイマニ。
半年ぶりの再訪で評価を下げてしまう。
それでも値段が値段だけに不満などない。
M助クンはニコニコ顔で箸を上げ下げしている。
北千住を訪れたら、やはり必ず寄りたい1軒だ。
続いて3軒目の居酒屋「藤や」。
具合のよいことに「徳多和良」の真ん前にある。
定番となっている飲み物は、焼酎のほうじ茶割り。
素直にそれをいただく。
突き出しの茄子入りきしめんはいただけなかった。
「いいんだ、いいんだ、ここには取材を兼ねて
煮込みを食べに来たんだから・・・」
そう自分に言い聞かせ、
みつくろわれた串刺し煮込みを口元に運ぶ。
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ハチノス・フワ・スジの3本
photo by J.C.Okazawa
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味付けは八丁味噌と桜味噌の混合ながら味噌味は薄め。
それでも風味はちゃんと立っている。
ハツモト・玉子・玉こんにゃくを追加した。
何とナシに親父サンの手元を眺めていたら
ニンニクと生姜を煮込み鍋の中に
ポンポンと放り込むではないか。
そうか、これが隠し味の源泉だったのか。
【本日の店舗紹介】
「千住の永見」
東京都足立区千住2-62
03-3888-7372
「徳多和良」
東京都足立区千住2-12
03 -3870-7824
「藤や」
東京都足立区千住2-35
03-3870-6677
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