「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第823回
泣いてくれるな ほろほろ鳥よ(その2)

有楽町の老舗和食店「大雅」で
旧友のK石クンと生ビールを飲んでいる。
この夜は食事が済んだら
近所のラウンジバー「うさぎ」に赴く予定だ。
経営するのは、歌舞伎界の大看板の姉上。
彼女はニューヨーク時代からの友人なのである。

料理が出来上がってきた。
葉わさびのひたしは清涼感いっぱい。
本わさび抜きではめったに生モノを口にしないJ.C.は
わさび本体はもとより、その葉もその花も大好きだ。
鯨のベーコンは良質にして、850円という値付けも良心的。
出来合い品では儲けないという姿勢が好ましい。

リクエスト通り、いや、それ以上に
ニンニクが添えられた、かつおのたたきに好感。

こりゃうれしいな、ルンルン♪
photo by J.C.Okazawa

大量の生ニンニクを食べちゃうと、
2軒目でモテなくなることも懸念されるが
「そんなの、関係ねェ!!」
いや、失礼こきました。

生ビールから芋焼酎にシフトする。
銘柄は「農家の嫁」。
誰が名付けたか知らんが、意表を衝くネーミングだ。
氷を浮かべたロックグラスをくるくる回していると、
何だか妙な気分になってきた。
悪代官に扮した自分が農家に嫁いだ人妻を
年貢代わりに手ごめにしているような・・・。

生まれてこのかた、女性を手ごめにしたことなど
ただの一度もないけれど、ふとそんな気がしてきた。
フッフ、いくらなんでも考えすぎですな。
っていうかァ、時代劇の見すぎだな、こりゃ。

鹿児島産さつま芋・黄金千貫を
炭火で焼いた焼き芋焼酎は風味がしっかり立ち、
かつおとの相性にも優れている。
ここは農家の嫁さんの健闘を称えたい。

いよいよお待ちかね、ホロホロ鳥である。
岩手県の石黒農場で飼育されたものだという。
最初はシンプルな焼き鳥を塩で。
これはネギマ仕立てとなっている。
お次は手羽先を同じく塩で。
さすがにニワトリよりもずっと大柄だ。
キメの細かい肉質は噛み応えも十分。

ここまで食べ継いで思った。
都内唯一と断言してもよいホロホロ鳥専門店が
あまりメディアに登場しないのが摩可不思議。
もっと広く認知されてよい「大雅」である。

本日のMVPが最後の最後に待っていた。
品書きにはレバーとあったが
実際はレバー&ハツのミックスをタレでいただく。

大串のレバー&ハツ
photo by J.C.Okazawa

これがダイナミックで絶賛に値するほどの傑作。
チキンのそれを上回る美味であった。
あんまり旨くて、仕舞いにゃ涙がにじんでくる始末。
お願いだから、泣かせてくれるな、ほろほろ鳥よ。


【本日の店舗紹介】
「大雅」
 東京都千代田区有楽町2-2-2大雅ビルB1
 03-3573-0029

 
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2009年8月28日(金)

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