「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第848回
黒豚メンチと厚切りハムカツ

カツやフライなどパン粉をまとった揚げ物が
特段、好物というわけでもないのだが
ビールが人一倍好きなために
相性のよろしい揚げ物をつい口にしたくなる。

旅空の下、車窓を流れる景色を楽しみながら
缶ビールをプシュッと開け、駅弁を紐といたときに
一口大のカツやフライを見つけると、なぜかホッとする。
おかずが煮物主体では、とてもこうはいかず、
ビールよりもワンカップ、てな気分になってしまう。

ビヤホールではよく串カツを注文する。
同じ揚げ物でも若いお嬢さんたちが
好むフライドポテトには見向きもしないし、
鶏の唐揚げとの関係も極めて疎遠だ。
何故かというと、われわれの小学生時代は
精肉店のコロッケやメンチカツが
おやつの横綱格だったのに対し、
今の若者が子どもだった頃は
「マック」や「ケンタッキー」が
肉屋の役割をはたしたことに関連している。
要するにわれらはソース味に慣れ親しみすぎたのだ。

その点、オヤジの楽園ともいえる下町の飲み処は
年配客の好みを熟知しているから
つまみの品揃えにもまったく抜かりがない。
月刊誌「めしとも」で煮込みの連載を開始して以来、
前にも増して居酒屋や大衆酒場を飲み歩くようになった。
今日は最近、酒場で出会った2つのカツを紹介したい。
メンチカツとハムカツである。

最初は大田区・蒲田「鳥万本店」の黒豚メンチ。
たまたまここの鶏皮煮込みを食べに出掛けて
この一品を見初めることと相成った。

煮込みと並ぶ人気メニュー
photo by J.C.Okazawa

これが期待を大きく上回る出来映えだった。
黒豚の挽肉をタップリ使い、
しかもたったの320円というから泣かせる。

焼き鳥・肉野菜炒め・ホルモン焼きと
いろいろ賞味はしたものの、
煮込みとメンチが他を圧倒して双璧。
蒲田に遠征したかいがあったというものだ。

お次は港区・新橋「大露地」のハムカツ。
品書きにはハムフライと表記されているが
これはハムカツでハムフライでは何だか間が抜ける。

前代未聞の超厚切り
photo by J.C.Okazawa

昭和30年代の肉屋のそれとは厚みが断然違う。
ハムステーキのパン粉揚げと呼んでも過言ではない。
そしてこいつがまた格安の2個付け300円。
まさに「インフレ飛んでけ!」なのである。
しかもカレー味のメンチと1個ずつの合盛りも可。
いやはや、たまりませんな。

「大露地」のつまみ類はどうやら300円均一らしい。
小あじ南蛮漬け・まぐろ刺身・焼きビーフン、
何を食べてもみな300円だった。
とりわけまぐろ刺しなんざボリューム十分で
どうしたらこんな値段で出せるのか心底、理解に苦しむ。
蒲田「鳥万」ほどのキャパがないから常に混み合い、
席の確保すらままならないのが最大の難問である。


【本日の店舗紹介】その1
「鳥万本店」
 東京都大田区西蒲田7-3-1
 03-3735-8915

【本日の店舗紹介】その2
「大露地」
 東京都港区新橋3-10-6
 03-3431-0708

 
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2009年10月2日(金)

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