「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第852回
女は乗せない戦車隊

昨日のコラムで紹介した珍魚・銀鏡は
御徒町駅前の「吉池」で見つけたものだ。
秋葉原と上野にはさまれた御徒町は
上野広小路のすぐ隣り。
というより、ほぼ同じ場所にあるといっていい。
この近辺はなかなか味のある一角なのである。

「吉池」のすぐ近所のJRガード下に
「御徒町食堂」なる食事処がある。
せっかく御徒町にふれたのだから
ついでにこの店も紹介しておこう。
実は先日、埼玉県・春日部在住のO堤サンからのメールで
「御徒町食堂」が話題になったばかり。
しばらくぶりで出掛けてみる気になった。
夕方5時の開店後まもなく暖簾をくぐると先客はゼロ。
フロアでは3人のオバちゃんが接客に当たっていた。
みな一様にそこそこの愛想を見せて迎えてくれる。

昼間、食事を提供する大衆食堂が
陽が沈むと大衆酒場に変身する店が多い中、
ここは昼夜とも食堂であり続ける。
何となれば、酒の種類が極端に少ないから
一杯やろうにもその気力が湧いてこないのだ。
キリンかアサヒの大瓶のほかは
名門という銘柄の日本酒があるだけ。
焼酎もホッピーもサワーもまったくお呼びでない。
食事は和定食と中華モノが中心だ。

時計は5時20分を指している。
オバちゃんのうちの一人が賄いを食べ始めた。
その席が遠いのと、彼女の背中で隠れているのとで
何を食べているのかは皆目判らない。

そうこうするうちポツポツとお客が入り出した。
そのすべてが単身の男性客。
常連のジイさんが定食を頼みながら
「味噌汁は半分でいいよォ!」なんて叫んでる。
若いサラリーマンが迷いながらもビールを頼んだ。
遊び人風の縞柄シャツは単品で肉野菜炒めだ。
あろうことか、お冷やで食ってる。
縞シャツの勝手だけど、おかしなヤツだわい。

かくあるJ.C.はビールの残りが半分になったところで
おもむろにハンバーグ定食(880円)を頼んだ。
「めしとも」のハンバーグ特集で食べすぎ、
「しばらくハンバーグはいいや」と思っていたのに
喉元すぎれば何とやら――である。
ライスは半分弱でお願いした。
代表的な定食類は小鉢を選べるシステムが導入されている。
しかもサイズ的にかなり立派なもの。
当夜の小鉢リストは下記の通り。

・日替わりおかず ・冷奴
・かきフライ ・さんま塩焼き
・麻婆豆腐 ・半ラーメン

冷奴と麻婆豆腐が同じ扱いというのも何だかヘンだが
かなり豪勢な冷奴が登場するのかもしれない。
ハンバーグにはマカロニサラダ、
3個付けのかきフライには千切りキャベツが添えられた。
緑色に着色されたきゅうりのキューちゃん風には
さすがに鼻白んだけれど、しじみの味噌汁が失点をカバー。
日経の夕刊を読み切ったので、滞在時間はおよそ1時間。
その間、男の独り客以外はついに誰も現れなかった。
「女は乗せない戦車隊」みたいな食堂だね、ここは。


【本日の店舗紹介】
「御徒町食堂」
 東京都台東区上野5-20-5
 03-3832-0451

 
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2009年10月8日(木)

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