「一歩一歩、おいしさを探して」
J.C.オカザワの脚で綴ったダイアリー

第856回
もんじゃの町にワインを持ち込み(その1)

花の銀座から魚河岸のある築地を突っ切って
勝鬨橋(かちどきばし)を渡り、
ほどなく左に折れるとそこは、もんじゃタウン月島。
もんじゃ屋さんがこれでもか、
これでもかと軒を連ねている。

こんなに密集していて温泉街の旅館みたいに
客の奪い合いにならないものかとこちらのほうが
心配になるが、そういうものでもないらしい。
横浜のチャイナタウンのように
群れてエリアを構成するほうが
かえって客をおびき寄せるというか、
惹きつけるのだろう。

とにかくもんじゃやお好み焼きは
気の合った仲間同士が
鉄板を囲んで和み楽しめる上に価格設定も低め。
若いカップルや家族連れにはもってこいで
事実、彼らの間では絶大な人気を誇っている。

J.C.がこの小さな町に現れるのは
おおよそ半年に1度のペース。
ただし、もんじゃ屋に足を踏み入れるのは
10年に1度とはいわないが5〜6年に1度だろう。
だって、この10年ほどの間に
たったの2度しか行ってないんだから――。

どうも月島のもんじゃとお好み焼きは
女性や子どもたちが食べるもの、
という多分に偏見を伴った決め付けが
頭のどこかにこびりついているようだ。
もっとも酒飲みにはけっして
ありがたいつまみとは言えない。

同じ10年の間に
浅草観音裏の「立花」には数回出向いている。
ここにはオトコを迎え入れる空気が漂っている。
この店ではもんじゃとは言わずに水焼きと呼ぶ。
もんじゃと水焼きでは、水焼きのほうがずっと粋だ。

「それじゃあオメエはいってェ、
 何しに月島くんだりまで行くんでェ?」
ってか?
言われてみればその通り。
その疑問、よお〜く判ります。
この町には煮込みで有名な「岸田屋」を始め、
心が和む赤ちょうちんや縄のれんが少なくないんでさァ。
月島名物・レバフライを売る店もたくさんあるこったし。

「げんき」は牛もつ煮込みを
路地裏で商う、ごくごく小さな店。
屋号の通りにゲンキなオバちゃんが
いつもたった独りで切盛りしている。
アルコール類をまったく置いていないから
客が勝手に酒を持ち込むシステムだ。

営業時間は15時半から18時半と、
明るい時間帯に3時間だけ。
こんなんでよく商売が成り立つものと不思議でしょう?
実はイートインだけでなく、
テイクアウトが貢献しているわけです。

            =つづく=

 
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2009年10月14日(水)

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