第860回
まだ東海道をさまよっている(その1)
今年は夏から秋にかけて伊豆方面にたびたび出かけた。
真鶴・熱海・三島・吉原・富士宮の街々で
おいしいもの、おいしくないもの、
玉石を織り交ぜて食べてきた。
後日、東海地方の地図を見ていて
またまた、好奇心を喚起されてしまう。
港町・焼津に行ってみたくなったのである。
市内の小川港には魚河岸食堂があるというし、
市場で飲み食いするのは大好きだから
思い立ったが吉日とばかり、列車に乗り込んだ。
ヤケに殺風景な魚市場に食堂はあった。
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期待はずれの店構え
photo by J.C.Okazawa
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築地みたいな魚河岸ならではの活気が微塵もない。
「ありゃ〜、はずしちまったかなァ」――
失意の淵にたたずんではいても
ここから引き返すつもりは毛頭ない。
中へ入るとあろうことか、券売機のお出迎え。
ラーメン屋じゃあるまいし、情緒のかけらもありゃしない。
壁には写真入りの品書きがずらりと並んでいる。
ちょいとばかり紹介してみよう。
定食もの
魚河岸定食・・1000円 刺身盛合わせ定食・・1000円
生しらす&生桜海老定食・・1000円
ミックスフライ定食・・850円 煮魚定食・・600円
丼もの
海鮮丼・・1000円 まぐろ中とろ丼・・1600円
桜海老かき揚げ丼・・800円 かつおカツ丼・・780円
麺・飯もの
ラーメン・・450円 海老天うどん・・800円
ジャンボ焼きそば・・900円 カツカレー・・850円
刺身・天ぷら・焼き魚トリオの魚河岸定食が魅力的で
なおかつお食べ得感にあふれている。
でもなァ、二兎を追うもの一兎を得ずというくらいだから
三兎を追っちゃいけないかもなァ。
冷たいビールも飲みたいし、
ごはんと味噌汁を前に飲むのはいささかせわしない。
よって写真うつりのよかった海鮮丼の(上)にする。
(上)は5割増しの1500円也。
昼めしどきということもあって
広い店内はなかなかの活況ぶりを呈している。
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テーブルの9割がたが埋まっていた
photo by J.C.Okazawa
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《係のオバちゃんが
「酢めしと普通のごはんを選べるよ」とおっしゃる。
ここはやはり生モノになじむ酢めしを選択。
現れいでたる海鮮丼は写真のままに器量よし。
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これで1500円なら文句ありません
photo by J.C.Okazawa
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構成スタッフは、まぐろ赤身&カマとろ・かつお・
帆立・甘海老・生桜海老・生しらす・いか・いくら。
けっこうじゃないですか。
おもむろにふところから生わさびとおろし板を取り出し、
せっせこ、せっせことおろし始めたJ.C.でした。
エッ、味のほうはどうだったんだ? ってか?
なんと、築地場内外の海鮮丼専門店を凌駕した。
抱いた懸念は杞憂に終わったのである。
まったくもって、河岸は見掛けによらぬものでした。
【本日の店舗紹介】
「小川港魚河岸食堂」
静岡県焼津市小川3392-9
054-624-6868
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